仕事の意義を感じて働く時、生産性は最も高くなる

 近年の産業心理学の研究では、この「馬ニンジン」式の評価による動機よりも、仕事の意義で行動するほうが、生産性が高まることが常識になっています。

 TED(Technology Entertainment Design)にも登場したダニエル・ピンクが、このことを『モチベーション3.0』(講談社+α文庫)の中で、飴とムチ、信賞必罰式の成果指標よりも、「意義」でドライブされた人間の生産性が最も高いことを述べています。

 学術論文の世界ではすでに当たり前に語られているこのことが、いまだに経営の世界、特に日本企業では、あまり取り入れられていません。

 成果主義指標は、客観的な指標を使いますので、「評価については、この指標で見ることに決めよう」と同意を得た上で、その指標の達成度で業績給、昇格が決まるため、人事評価を行う側としては、「君も納得していた指標だろ」と言い切れるため、もめ事が無くなり実務上は楽になります。

 しかしそもそも、どのようなルールも決め事も、はじめから完成度を高く作るのは難しいものです。