僕が新入社員だったら
「人的資本」の価値を必死で高める
――「Q&A」を読むと、新入社員がどんなことで悩んでいるのかもよくわかります。それでは、今もし岩瀬さんが入社1年目だとしたら、どんなキャリア形成を目指すでしょうか。
岩瀬 最初に入った会社では、大事な仕事を任せてもらえるまで、ある程度長く働くつもりで、積極的にいろんな仕事にチャレンジします。雑用でも何でも嫌がらず、工夫できるところは工夫して、自分なりに納得できるまでやり切る。本にも書きましたけど、世の中につまらない仕事なんてありませんから。
ただ、今のご時世、勝手に長時間労働すると会社に迷惑をかける可能性があります。その場合は、会社以外の場所で、自主的に仕事のスキルを身につけたり、本を読んだり、情報を集めたり、できる限りのことをするかもしれません。『入社1年目の教科書 ワークブック』にも書いたように、「ヒューマン・キャピタル(人的資本)」の価値を高めるため、がむしゃらにやると思います。
また、コロナ禍のような状況だとむずかしい面はありますが、できるだけ多くの人と会って話をしたり、ビジネス系のイベントやカンファレンスにも参加したりします。もしリアルでそういうことができなくても、ネットを活用して、人の話を聞いたりコミュニケーションして、刺激を受けたり学んだりするでしょうね。
――「自分の才能を最大化するための体力、時間、チャンスを持っているのは若い人」だと、本にも書いてあります。その3つを最大限活かす努力をするわけですね。
岩瀬 そうです。「体力、時間、チャンス」は若い人の貴重な財産ですね。あとはやはり英語ができないと話になりませんので、僕がもし英語ができない新入社員だったら、本気で英語力を身につけます。英語をマスターする秘訣は、とにもかくにも時間をかけること。逆に言うと、時間さえかければ誰でもできるようになるのが英語です。日本語に比べると英語は、それほど難しい言語ではありませんから。
僕は今、香港にも住んでいますが、タイ、インドネシア、シンガポールなど東南アジアのどこへ行っても、優秀な人はみんな英語ができます。ビジネスパーソンとしてどれだけ優秀でも、英語ができなければ世界から相手にされないのが現実です。これから社会で活躍していきたい人は、なにがなんでも英語は身につけてください。