最初は“様子見”で
誰もがガードが固くなる

相手の「第一印象」を評価すべきではない理由がもうひとつ。

それは、「相手もこちらの様子を見ている」からです。

特に“よそ者社長”の場合、外部から着任するこちら側も、それを迎える側も、初対面の段階では、両者が、
「この会社の従業員たちはどんな感じなんだろう」
「今度の社長はどういう人物なんだろう」
という不安定な感情を抱えています。

いわば、お互いが相手の肚の内を探り合っているような状態なのです。

こういうときの行動は人それぞれ。

最初から本当の自分をさらけ出してくる人もいれば、ガードを固くして自分らしさを押し隠し、先に相手の出方を見ようとする人もいます。時にはガードを固めながら、相手を試すように“ジャブ”を打ってくる人もいるでしょう。

新しい社長が若かったり外部からの“よそ者”だったりする場合、洗礼とばかりに古参の役員や従業員がわざと試すような態度を取ってくるようなケースもよくあります。

中にはこうした第一印象そのままの「本当に意地の悪いヤツ」もいるかもしれません。

でも、仮にそうだとしてもそれだけで決めつけるのは、経営者として拙速にすぎるというもの。

相手のことがよくわからないからこそ、初対面での態度や印象だけで「この人はこういう人」と評価すべきではありません。

私にも、第一印象や最初の頃はやや反抗的とも取れる態度だった人が、信頼できる参謀になったという経験があります。

「だって何にもわかっていない人が来て、ここまで守ってきた会社をメチャメチャにされるんじゃないかと思って~(笑)」

「どんな極悪人だと思ってたんだよ!」

後には笑い話になりましたが、最初はお互いに疑心暗鬼だったというわけです。

新しいリーダーを迎えるときは、最初は誰でもガードが固くなりがちなもの。大事なのは初対面後の行動や態度、周囲の人からの評価などから、その人の「真の思い」や「真の能力」を客観的かつ総合的に見極めることなのです。

※「よそ者リーダーとはどんな人か」「よそ者リーダーが身につけたい3つの心構えやマネジメントとは何か」については、本連載の第1回も併せてご覧いただければと思います。

次回は、メンバーの資質や本音がわかる「1つの質問」についてお伝えします)