4.役割分担

 図表2のようなチーム・役割に分かれます。

 2 on 2では多様な視点からの投げかけが重要となりますので、隣の部署の人など、問題と関係のない人(外部者)を一人入れることが望ましいです。外部者はβチームに入ります。

5.時間配分

 所要時間はやり方の説明を入れて60分が基本です(図表3)。

 チームごとに話す時間(ターン)は10分。各チームが交互に、計2ターンずつ話します。

 最後は、4人で困りごとの当事者であるAさんが持ち込んだ困りごとから見えてきた問題に名前をつけます。ファシリテーターが参加する場合は、βチームの会話の後に発言します(5~10分)

6.各ターンで話す内容

 1ターン目では、次のような投げかけを通して、Aさんが困っていることは何であるかを解きほぐしていきます。困りごとが明確にならない場合は、2ターン目でも次のような投げかけをしながら話を続けます。

〈BさんがAさんにする投げかけ〉
 ・何に困っているか
 ・どのような場面でその困りごとが起きるか
 ・それが起きるとどんな気持ちになるか
 ・それについて、Aさん自身はどう思っているか
 ・周りの人たちはどんなふうに思っていると思うか

 2ターン目では、問題の背景を表出させながら、Aさんと問題との関わりを解きほぐしていきます。

 ・その問題はいつから、どんなきっかけで生じるようになったか
 ・どんなときによく発生するか
 ・もう一度同じ問題を起こすにはどうしたらいいか。もっと悪くするにはどうすればいいか(反転)
 ・問題について語られてこなかったのはどうしてか
 ・問題に名前をつけるなら、どんなネーミングが考えつくか

 本書にも詳しい説明がありますのでぜひ参考にしてください。

【追伸】「だから、この本。」についても、この本について率直に向き合いました。ぜひご覧いただけたらと思います。

【「だから、この本。」大好評連載】

<第1回> あなたの会社を蝕む6つの「慢性疾患」と「依存症」の知られざる関係
<第2回>【チームの雰囲気をもっと悪くするには?】という“反転の問い”がチームの雰囲気をよくする理由
<第3回> イキイキ・やりがいの対話から変革とイノベーションの対話へ!シビアな時代に生き残る「対話」の力とは?
<第4回> 小さな事件を重大事故にしないできるリーダーの新しい習慣【2 on 2】の対話法

<第5回> 三流リーダーは組織【を】変える、一流リーダーは組織【が】変わる

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体験者が初告白!「私にとって 2 on 2 は、言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れた衝撃の体験でした。」

宇田川元一(うだがわ・もとかず)
経営学者/埼玉大学 経済経営系大学院 准教授
1977年、東京都生まれ。2000年、立教大学経済学部卒業。2002年、同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。2006年、明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。
2006年、早稲田大学アジア太平洋研究センター助手。2007年、長崎大学経済学部講師・准教授。2010年、西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。
専門は、経営戦略論、組織論。ナラティヴ・アプローチに基づいた企業変革、イノベーション推進、戦略開発の研究を行っている。また、大手製造業やスタートアップ企業のイノベーション推進や企業変革のアドバイザーとして、その実践を支援している。著書に『他者と働く――「わかりあえなさ」から始める組織論』(NewsPicksパブリッシング)がある。
日本の人事部「HRアワード2020」書籍部門最優秀賞受賞(『他者と働く』)。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。