今日では、多くのマネジャーがマネジメント業務だけでなく自らもプレイング業務を持っています。そうした、時間的な余裕の少ない多忙なマネジャーであればこそ、この「ものさし」を活用して、適切なタイミングでの声かけや、フォローが行えるよう、部下育成の方法を獲得していただきたいと願っています。

 部下に合わせた任せ方と育て方を実践することができれば、個々人の生産性が高まるだけでなく、職場全体の生産性が高まることにもつながっていきます。任せ上手・育て上手のマネジャーとその職場は、さらに一段高いステージへとステップアップしていくことでしょう。

本書の構成

 本書は、5つの章から構成されます。これから本書を読み進めていくときの見取り図としてご覧ください。

 まず1章では、部下の実力を見極めるための段階(ステージ)という考え方を紹介します。部下にとっての適切な仕事を任せ、部下を育てていくためには、相手の「現状」を正しく把握することが大切です。ここでは、ステージを「部下の成長度合いを見るものさし」として活用する方法を説明します。

 2章では、部下のステージが一段上がる転換プロセスを説明します。ステージの変わり目は、部下にとっては成長のチャンスであるとともに、停滞のリスクもある時期です。ここでは、部下のステージが変わるプロセスを理解し、部下の成長を支援する際の、マネジャーの関わり方を解説します。

 3章では、部下のステージ別に転換プロセスを支援する育成のポイントについて言及します。個々のステージに合わせて、マネジャーはその関わり方を具体的に調整していく必要があります。本章では、4つのステージごとに、マネジャーが部下に、どんな仕事を与え、どんな関わりをすればよいか実例を交えながら説明します。

 4章では、部下同士がお互いのステージ転換を支援し合う職場作りの考え方を紹介します。マネジャーが部下一人ひとりを育成していくコツをつかんだら、次は部下同士のコミュニケーションを活性化させることがテーマになります。ここでは、部下同士がお互いに育成し合うためのマネジメント手法について説明します。

 最後の5章では、マネジャー自身のステージについて紹介します。マネジャーも、一人のビジネスパーソンです。今後、自らも次のステージの変わり目に直面することもあるでしょう。ここでは、マネジャーがこれから歩むステージと、その転換プロセスを説明します。

 本書が、皆さんのマネジャーとしての成功・成長の一助となれば幸いです。

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