少額短期保険 111社の大乱戦#2Photo by Yoshihisa Wada

2020年4月に参入した第一生命保険子会社の第一スマート少額短期保険。日系四大生保の中で、新会社を設立して市場参入した初のケースであり、その成否が注目されていた。ところが、第1弾商品のコロナ保険は9月、新型コロナウイルスの感染爆発で、一部の契約受け付けを停止する事態に陥った。特集『少額短期保険 111社の大乱戦』(全10回)の#2では、同社の誤算と今後の勝算について、高橋聡社長(高の字は正式にはハシゴ高)に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 片田江康男)

想定が甘かったコロナ保険
既契約を守るために販売休止

――9月1日から、4月に発売したばかりの第1弾商品「特定感染症保険」(コロナ保険)の募集を一部停止しました。なぜ募集を停止する事態となってしまったのでしょうか。

 7月上旬から始まった新型コロナウイルス感染症の第5波は、1月に感染者が増えたときの4倍くらいのスピードで急拡大しました。想定が甘かったと言ってしまえばそれまでですが、私たちの当時の想定をはるかに超えた感染者数になってしまい、まずは既契約のお客さまをお守りしなければならないと考えました。そこで、予防的に販売を一部休止するという対応を取ったのです。

 感染者数が急増していたときでしたので、非常に悩ましかったですし、販売を休止せざるを得なくなったことは、非常に申し訳なかったと思っています。

――「甘かった」ということですが、あれほどの爆発的な感染拡大は想定できていなかったと。需要と供給のバランスで価格が変動する「ダイナミックプライシング」が機能しなかったということですか。

 新型コロナの感染状況はなかなか予測ができませんが、そうは言っても、保険を提供する上で、専門家の知見や諸外国の状況も見ながら、想定をしていました。しかし、変異株の状況は、その想定をはるかに超えていたということです。