新生銀行Photo:Diamond

新生銀行をターゲットにしたネット金融界の雄・SBIホールディングス(HD)による買収が銀行界初の敵対的買収に発展した。新生銀は買収防衛策の発動方針を臨時株主総会に諮ることを決めた。だが、新生銀独自で成長を遂げ、公的資金を完済する道筋を示すハードルは高く、SBIが新生銀行を子会社とし、「第4のメガバンク」に向けて大きな一歩を踏み出す可能性が高まる。(JPモルガン証券シニアアナリスト 西原里江)

TOBに反対、買収防衛策を発動方針の新生銀
「白馬の騎士」は現れていない

 新生銀行は10月21日、取締役会と、社外取締役からなる協議会の議論を経て、SBIホールディングス(HD)による株式公開買い付け(TOB)への反対意見を正式に表明した。11月25日に臨時株主総会を開催し、買収防衛策の発動を株主に諮る。

 一方で、SBIHDが最大48%としている買い付け上限を撤廃し、1株当たり2000円としている買い取り価格を引き上げれば、TOBに賛成するとした。

 SBIHDは9月9日、新生銀に対する事前通知なしにTOBを発表し、翌10日から開始した。対する新生銀は、株主が検討するのに十分な情報と時間を確保できるようにとの理由でTOBの期限の延長を要請するとともに、買収防衛策の導入を決議した。

 この間メディアは、新生銀がいくつかの企業に対してホワイトナイトとなるよう打診したと報道し、ソニーやセブン&アイHDの名前が挙がったが、現在のところ有力な企業は名乗り出ていない。

 その後SBIHDは、株主がTOBへの賛否を判断するのに十分な情報と時間を既に提供しているとの見解を示しつつも、新生銀に譲歩する形で、TOBの期限を当初の10月25日から12月8日に延長した。しかし、新生銀が示したTOBへの賛同のための条件には応じられないとの意向を示し、両者の間の緊張感は高まっている。