異例のトップ交代に揺れる山口フィナンシャルグループが、12月24日に臨時株主総会を開き、吉村猛前会長兼グループCEO(最高経営責任者)の取締役解任を株主に諮ると公表した。同時に吉村氏が主導した、消費者金融を専門とする新銀行設立の検討中止も表明している。6月25日に起きた事実上の解任劇は事前に仕組まれたクーデターではないのか。椋梨敬介社長兼グループCEOに疑問をぶつけた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
山口FGが株主総会で吉村取締役の解任へ
吉村氏の問題行動が5月以降に「急激に顕在化」
――このタイミングで臨時株主総会を開き、吉村猛取締役の解任議案の提案に踏み切ったのはなぜなのでしょうか。
10月14日開催の取締役会で、吉村氏に辞任勧告をしました。吉村氏には私たちの企業価値向上の観点から、取締役会からの勧告を真摯(しんし)に受け止めて判断してもらいたいと期待しましたが、いまだに辞任の申し出を受けていない状況です。
新年度からスタートする新中期経営計画の策定を控えている状況であり、取り組みのかじ取りを担う取締役会として十分な機能を果たせないかもしれないリスクを、これ以上放置することは許されないと判断しました。
また、6月25日の定時株主総会において、なぜ吉村氏を取締役として再任する議案を付議したのかという点についてですが、取締役会が吉村氏の代表権を持つグループCEO(最高経営責任者)としての資質に疑念を持つきっかけとなったのは、新銀行設立に関する議論が表に出た5月以降でした。
この議論が進む過程で、吉村氏は独断専行の姿勢を変えようとせず、グループCEOとしての代表権を任せることは適当ではないと各取締役が判断するに至る状況が、6月25日の株主総会直前に急激に顕在化しました。
では、6月25日に選任を否決された後、時間を空けずに(株主に)説明すればいいのではないか。この指摘については、経営トップの異動という重い判断をしたため、ステークホルダーに説明責任を果たすには、客観的な調査を通して事実関係を究明することが必要だと判断しました。
その調査の過程で、吉村氏には私たちの取締役としてもふさわしくないことを示すさまざまな事実が確認され、放置すれば私たちの企業価値が毀損していくと判断したので辞任勧告に至っています。
――吉村氏のガバナンス上の問題点が、具体的にどういう形で「急激に顕在化した」のでしょうか。