みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#19では、2004年に起きた唐突すぎるみずほ銀行の頭取交代にフォーカスする。
大銀行のトップ交代が、3月1日付で行なわれるのも異例なら、これまで下馬評に上らなかった人物がトップに就くのも、あまりないことだ。青天の霹靂ともいえる今回の人事の裏では、旧3行の激しい権力争いが再燃していた。システム障害の要因となった旧行意識だが、その反省は事件からわずか2年余りで忘却の彼方へ葬り去られてしまった。
みずほ銀行の唐突すぎる頭取交代で
旧3行の内部闘争が再激化へ
今年2004年1月、みずほグループの3首脳が顔を揃え、向こう3年間の経営計画のレビューを行なった。
3首脳とは、持ち株会社・みずほフィナンシャルグループ(以下FG)の前田晃伸社長、大企業取引専門のみずほコーポレート銀行(同CB)の齋藤宏頭取、そして、今回退任したみずほ銀行(同BK)の工藤正前頭取だ。
前田社長、齋藤頭取の2人は、中堅中小企業・個人向け取引に特化しているBKの経営計画の説明を受けて愕然とした。