みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#19では、2004年に起きた唐突すぎるみずほ銀行の頭取交代にフォーカスする。

大銀行のトップ交代が、3月1日付で行なわれるのも異例なら、これまで下馬評に上らなかった人物がトップに就くのも、あまりないことだ。青天の霹靂ともいえる今回の人事の裏では、旧3行の激しい権力争いが再燃していた。システム障害の要因となった旧行意識だが、その反省は事件からわずか2年余りで忘却の彼方へ葬り去られてしまった。

「週刊ダイヤモンド」2004年6月6日号の「クローズアップ」を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

みずほ銀行の唐突すぎる頭取交代で
旧3行の内部闘争が再激化へ

 今年2004年1月、みずほグループの3首脳が顔を揃え、向こう3年間の経営計画のレビューを行なった。

 3首脳とは、持ち株会社・みずほフィナンシャルグループ(以下FG)の前田晃伸社長、大企業取引専門のみずほコーポレート銀行(同CB)の齋藤宏頭取、そして、今回退任したみずほ銀行(同BK)の工藤正前頭取だ。

 前田社長、齋藤頭取の2人は、中堅中小企業・個人向け取引に特化しているBKの経営計画の説明を受けて愕然とした。