応援の反対は「誰も見てくれない」
逆に、周囲の協力が得られにくい状態をイメージしてください。
明確に意思表明をしなかったことで何が起こると思いますか?
密かに一人でがんばっているものの、誰も見てくれていない。
実は新しいことにチャレンジしているのに、誰もそのことを知らない。
多くの組織で生じているのは、まさしくこの状態です。
リモートワークによるコミュニケーション不全も関係していると思いますが、がんばっている若手が「誰も関心を示してくれない」と感じる場面が増えてしまうと、孤独を覚え、がんばることやチャレンジすることそのものをやがてあきらめてしまいます。
この会社ではもはや自分は認めてもらえないのだと解釈してしまい、転職を考える人も出てくるでしょう。
「うちの会社は優秀な若手から辞めてしまうんです」
こんなふうに悩まれる人事担当者はたくさんいますが、そもそも優秀な若手と呼ばれる人が、今現在、社内で具体的にどんな仕事をしているかご存じでしょうか。
また、優秀な若手が、現場でどのような活躍や成長をし、上司や周囲の人からどのような評価を受けているのか、しっかり把握できているのでしょうか。
「なんとなく優秀だ(と聞いている)」程度の印象しか持っていないのであれば、危険信号です。
優秀な若手の離脱を生じさせないためにも、上司や先輩、リーダーやメンター、トレーナーの方たちは、「意思表明」の重要性について若手にしっかり伝える必要があるのです。
※次回は、管理職必読!の日頃から「若手が自分の意見を言いやすくする工夫」についてお伝えします。(次回は12月7日公開予定)
1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社、紳士服部門配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1999年、社員数が20人程度だったサイバーエージェントにインターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任。2008年から取締役を6年務め、2014年より執行役員、2016年から取締役に再任。2020年より現職。著書は『強みを活かす』(PHPビジネス新書)、『サイバーエージェント流 成長するしかけ』(日本実業出版社)、『クリエイティブ人事』(光文社新書、共著)等。ビジネス系ユーチューバー「ソヤマン」として情報発信もしている。
2005年の人事本部長就任より10年で20以上の新しい人事制度や仕組みを導入、のべ3000人以上の採用に関わり、300人以上の管理職育成に携わる。毎年1000人の社員とリアルおよびリモートでの交流をおこない、10年で3500人以上の学生とマンツーマンで対話するなど、若手との接点も多い。