死亡診断書と死体検案書の違いとは?

 死亡診断書も死体検案書も記載される内容は同じです。発行者の違いによって呼び方が異なります。詳しく見ていきましょう。

故人が入院しており、その入院先で亡くなった場合

 担当医師が死亡診断書を発行します。病院にもよりますが、費用は平均5000円前後です。

故人が入院中の病院以外で亡くなった場合

①故人が通院して治療を受けており、その疾病が原因で死亡した場合
 入院はしていなかったものの、何らかの疾病により継続的に治療を受けていた人が、その疾病が原因により死亡した場合は、その治療をしていた担当医が死亡診断書を発行します。

②上記以外の場合
 死因がはっきりせず、医師が死亡診断書を発行できない場合は、検視(検死)という手続が必要になります。検視とは、事故や突発的な死亡により、検察官や警察職員(司法警察員)によって、犯罪性の有無を調べるために行うものです。この検視が終わった後に発行されるものが、死体検案書になります。

検視が行われる主な状況

・自然死であっても、病院や主治医がいない状況での死である場合
・事故や災害での死である場合
・自殺、他殺である場合
・突然死である場合

 検視においては、医師の診断だけでなく、警察から遺族や発見者への事情聴取も行われることがあります。検視によって事件性があると判断した場合には、警察は司法解剖を医師に依頼します。

 この場合、遺族は司法解剖を拒否できません。また、司法解剖は必要ないと判断された場合でも、遺族の意向次第では、あえて解剖を行い、死因の究明をできる限り正確に行う場合もあります。

死亡診断書のコピーをとるべき理由

 役所に対して、死亡届(死亡診断書を含む)は原本を提出する必要があります。そして、一度提出したものは原則として返却されません。しかし、保険金の請求など、さまざまな場面で死亡診断書(死体検案書)の提出が求められます。そのため、提出前に必ず多めにコピーを取っておきましょう(5部以上推奨)。下図は死亡診断書の記入例です。

死亡診断書のコピーは5部以上とる! その理由は?

火葬許可証の申請も同時に行う

 死亡届の提出と同時に、「火葬許可申請書」も提出し、火葬の許可を受ける必要があります。この申請も多くの場合、葬儀社が代行してくれます。この火葬許可証は火葬当日に火葬場に提出します。

 火葬が終わると、「火葬済」と押印をしてくれますので、納骨日までしっかりと保管しましょう(失くさないよう、骨壺を入れる木箱の中に入れておくといいでしょう)。この火葬済と押印された火葬許可証がないと、納骨ができません。

「死亡」が戸籍に反映されるまでには、時間が必要死亡届を提出すると戸籍謄本に「死亡」という欄が追加されます。この追加がされるまでに1週間~2週間程度の時間がかかります。

 さまざまな手続を行うにあたって、「死亡」が記載された戸籍謄本が必要になってきますが、あまり早く取得すると、反映されていない場合があるので注意しましょう。
(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」ーー相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』を編集・抜粋したものです)