「預金いくらあるの?」とは聞きにくい。どうする?

橘:きっと世の中の大多数の人がそうだと思います。子どものほうから親に対して「相続対策をしてくれ」「財産いくら持ってるの?」「預金いくらあるの?」とはなかなか聞きづらい。だからできれば、親御さんのほうから切り出してくれるのが理想ですね。

――それが一番助かります、、、。

橘:実は私の元にも、お子さん世代の方から「相続対策をするよう、橘先生から私の親に勧めてください!」なんて相談がよくあるんですよ。ただ、それはできないんですね。だからそんなときは、「最近こんな本が売れているらしいんだけど」と、『ぶっちゃけ相続』をそっと手渡してもらうのがいいですかね(笑)

――他に何かコツがあればぜひ、、、!

橘:初めからいきなり、ガチガチに話し合おうとしないのもコツでしょうか。たとえば、「万が一のことが両親に起こったときには、兄弟で平等に、均等に分けてほしい」「配分はお父さんお母さんに任せるよ」など、子どもとしての意向を伝えるだけでも最初は十分だと思いますよ。

――なるほど! やってみます!

橘:では最後に、円満相続の秘訣を3つお話しします。

秘訣① 家族会議

橘:1つ目は「家族会議で相続後の方針を明確にする」です。

――やっぱり話し合ったほうがいいんですね。

橘:相続の準備をきっちり行っていた方に対して家族は、「最後の最後まで、本当にしっかりした人でした」と尊敬の念を持たれます。しかし、相続の準備をまったく行わず、トラブルが発生してしまったら、「生前に対策はできたはずなのに……」と、後悔の念を持たれてしまうかもしれません。

――確かにそうですね。

橘:円満な相続を実現させるために行う家族会議は、決して縁起の悪いものではありません。子どもから親に相続の話を切り出すのは、とても勇気がいることです。だからできれば、親の立場から相続の話を切り出し、家族会議をリードしてあげてください。

――なるほど! 2つ目のコツは何でしょうか?

秘訣② 現状分析

橘:次は「専門家に現状分析を依頼し、問題点を把握する」です。自分が死んだ後、「①遺産をどのように分けるのか、②相続税はどれくらい発生するのか、③当面の生活に困らないだけの資金は確保できるか」といった課題を予め把握する作業を指します。相続対策の人間ドックだと考えてください。

――なるほど。「この財産には要注意」などのポイントはありますか?