川上と川下では視点が異なる

 新規事業などを構想するアーキテクトとは、「具体⇔抽象」ピラミッドをボーリングのピンの配置にたとえるなら、いわば先頭の1番ピン(=センターピン)を倒す役割であるといえます(下図)。

 川上から順番に抽象→具体とピンが倒れていく様は、抽象的なコンセプトが徐々に具体化され、可視化されて、さらにそれが形になって実行されていくという仕事や日常生活におけるプロセスを模擬しています。

 川下に行けば行くほどプレイヤーが増えていきますが、抽象度の高いコンセプトは、扇の要として全てのピンへ影響を与えます

 経営者である質問者は立場上、センターピンを倒す位置にいます。

 それに対して、現場の従業員の多くが担当しているのは川下の業務です。したがって、10年先のことよりも今日明日の売上を上げるため、まだ見たことのない海外のお客様ではなく、目の前のお客様の期待に応えるために考えて活動しているはずです。

 経営者側は、まずはこの構造を理解しなくてはなりません。