コロナ禍なのに!?引き続き外資マネーが狙う日本の不動産市場。じゃぶじゃぶの金余りの中、買われる物件はどこ?REITが火を噴く?大手不動産会社の取引清浄化が進む?特集『不動産インサイダー年始座談会』(全8回)の#7では、2021年の不動産ファンドの動きと、不動産業界を揺るがせたあのニュースについて、全宅ツイメンバーが振り返る。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
●全宅ツイのグル @emoyino 都心の不動産を中心に扱うブローカー
●どエンド君 @mikumo_hk 専業の不動産投資家(大家さん)
●かずお君 @kazuo57 日本中の土地を老人ホームにする有活ブローカー
●あくのふどうさん @yellowsheep 渋谷の不動産ブローカー
●のらえもん @Tokyo_of_Tokyo 東京湾岸エリア専門のマンションブロガー
●はとようすけ @jounetu2sen 都内不動産営業
●なめ茸 @c___i___b マンデベモデルルーム勤務
●とっくさん@ @tokusenjouhou20 オフィスリーシングとテナント退去を阻止する管理業務に従事
●N的まにあ @n_teki_mania 恐妻家兼不動産ファンド関係者
●ヘタレ社長 @hetare808ceo 賃貸仲介と賃貸管理をほそぼそと営むヘッポコ社長
「アメリカもアジアも欧州も駄目」の消去法で
ファンドが群がる日本の不動産
――大型開発とファンド周りの状況はどうでしょうか?
N的まにあ(N的) みんなお金余りまくってまーす。海外エクイティは、1000億円単位で投資が終わっていないマネーがむちゃくちゃ余っている。これどーすんの?って感じで(笑)。だから3桁億円クラスの大きなオフィス案件がマーケットに出ると、取りあえずみんな突撃する。
あくのふどうさん(あくの) 突撃するんだ。
N的 大型の物流施設やオフィスになるとビッド(買い付け)が過熱するけど、その理由は金額が大きいのでエクイティの(※1)ドライパウダーを効率的に消費できるから。でも某ファンドは大型ディールにこだわっていたら買えないので、もう少し小ぶりの案件も検討するようになったって。あとは(※2)レジバルク。これもすごい利回りが引き下がっている。どの案件でも、不動産としての利回りはきついので、物件の利回りだけでなくて、円安為替や為替スワップの利益も加味して買っているファンドもある。もはや不動産投資でないんじゃないの、それ?って感じ。
――なんで日本にお金が集中するんですかね。
N的 日本の不動産投資マーケットが米国に次ぐ規模だからでしょうね。米国の不動産マーケットは既に利回りがきつくて、人気の高い物流施設は(※3)キャップレート3%半ばの事例も散見され始めた。しかも日本と違って借入金調達コストは高いので、米国での不動産投資は厳しい環境になってきた。じゃあ欧州は?というとコロナがまだくすぶってて、ちょっと厳しい。アジア全体では確かに不動産はあるけど、シンガポールや中国のように投資マネーへの規制が厳しいし、そもそも透明性が怪しいという国も少なくない。そうすると結局、ポートフォリオマネジメントの観点でマーケットに一定の規模がある日本の不動産に投資資金を振り向ける、という話になってしまう。
とっくさん@(とっく) 日本の物件価格が上がっている理由が、消去法で海外マネーが日本市場に買いを集中させているから、というのが気になりますね。
N的 それでも日本だって、賃料はコロナ禍で上げるのが難しくて、むしろキャッシュフローは弱まっているのにキャプレートはものすごく強い、というのが怖い。ファンド関係者各位はそうしたことに頭を悩ませつつ投資をしています。
――ロジカルな価格じゃないんですよね、怖い。しかし、そのようにして高値になっている相場はいつかクラッシュするリスクもあるのでは?