調査は上席調査官と調査官がペアとなる「組調査(くみちょうさ)」を基本とし、調査効率の向上を目指すとともに、実践教育によって調査官に調査技法の伝承も行っている。

 調査対象者の業種業態によっては、事業実態の解明のため無予告調査が必要になる場合もあり、これを主導するのも特別調査部門の役目だ。事案によっては、特別調査部門だけでは調査メンバーが足りないため、一般調査部門からも調査応援者を募って一斉調査の技法を経験させている。

 ここで特別調査部門の基本的な構成メンバーを紹介しておこう。

●統括国税調査官(トウカツ)
調査部門の指揮官で管理職。経験年数20年を越えるベテラン調査官。指揮官のため調査現場に出ることは少ない。しかし、調査畑の統括官によっては税務署内での指示より実践指導を重視し、現場に積極的に出ている者もいる。

●上席国税調査官(ジョウセキ)
経験年数15年から30年を超す者もいるベテラン調査官。長年培った調査経験で、若手の調査官を指導している。

●国税調査官(カン)
経験年数10年程度の調査官。バリバリの調査官で若手職員のホープ。仕事以外でも若手の兄貴的存在で、税務署全体をまとめる力も求められる。

 次回からは、特別調査部門の実力をケーススタディの形で紹介していく。

(次回は12月18日更新予定です。)


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トクチョウ(特別調査部門)とは、別名ピンク担当と呼ばれる国税局直轄の調査チームのこと。風俗店や飲食店の他、弁護士、司法書士、医師など、大口の申告漏れが見つかりそうな案件を対象に調査を行っている。
普通は見逃してしまうような、小さな違和感から調査の端緒をつかみ、いかにして脱税のからくりを暴いていくのか。徹底した調査で脱税者を追いつめるその実力を、17年間にわたってマルサの内偵部門に勤務した後に、実際にトクチョウの指揮を執った元国税調査官が明かす。

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