予防医学としてのサウナの可能性

――直後に脳がすっきりする効果以外にも、サウナには心臓病やうつ病、認知症予防などの効果もあると本に書かれていましたね。

加藤 僕は、中でも「睡眠とうつ」の改善効果に注目しています。サウナに入ると眠りが改善するという主観的なデータはすでにありますが、そのメカニズムやどういう入り方が効果的かなど、細かいスタディはまだないんです。睡眠は、「うつ」や「認知症」などいろんな病気にかかわってることが明らかになってきています。そこをサウナで改善することができれば、いろんな病気の根本的なアプロ―チになる可能性がある。実際に今、睡眠とサウナの研究を始めたばかりなんです。

【塩谷隆太×加藤容崇 対談】前篇<br />サウナ―医師2人が一致!<br />サウナが心身に与える<br />もっともすごい効果は?

塩谷 僕は、少し社会科学よりの視点ですが、会社の福利厚生としてのサウナに注目しています。会社の経営者が自分の会社にサウナ造る例が、今、増えています。頻繁にサウナを使う社員と使わない社員を比べたときに、例えば、頻繁に使う社員のほうがパフォーマンスが高いとか、離職率が低いとかのデータが取れるんじゃないかと。加藤先生もおっしゃるように「うつ」になる人が減って休職率が下がる可能性もあるし、データが取れれば投資費用対効果も数値化できますから、堂々と世の経営者がサウナを造れる(笑)。

加藤 実際にオフィスにサウナを作る会社も出てきてますね。

塩谷 仕事に煮詰まったら、1セットでも2セットして、昼寝でもしてからやったほうが、絶対パフォーマンスも上がりそうですしね。コミュニケーションの場にもなるし。何時間もだらだら残業するよりいいですよね。(後編に続く)*

【塩谷隆太×加藤容崇 対談】前篇<br />サウナ―医師2人が一致!<br />サウナが心身に与える<br />もっともすごい効果は?
塩谷隆太
2005年北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院を始め、道内各地での形成外科勤務を経て、医療ベンチャーなどにも勤務。2021年5月、東京渋谷に、CLINIC TEN SHIBUYA を開業。BiodataBank(株)のメディカルラボ統括責任者や、日本サウナ学会の監事など様々なプロジェクトに参画中。よりよく生きるための「well being」に興味を持ち、人々の「健康をアップデート」することをvisionに掲げている。
【塩谷隆太×加藤容崇 対談】前篇<br />サウナ―医師2人が一致!<br />サウナが心身に与える<br />もっともすごい効果は?
加藤容崇
慶應義塾大学医学部腫瘍センター特任助教・日本サウナ学会代表理事。北海道大学医学部医学科・同大学院卒。専門はすい臓がんを中心にした癌全般と神経変性疾患の病理診断。病理学、生理学にも詳しく、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析することを第二の専門としている。著書に「医者が教えるサウナの教科書」がある。