なぜ、会社はもうからないのか?、なぜ、現金が手元に残らないのか?――。その答えが「安全をおろそかにしているから」なのだとしたら、簡単に腑に落ちる人は多くないかもしれません。取引先ゼロ+キャッシュフローほぼゼロ+金融機関からの融資拒否という経営状態だった鍛造工場を引き継ぎ、わずか数年でもうかる体質に変貌させ、上場企業に100億円で売却した平美都江氏。その半生をつづって大きな反響を得た前著『なぜ、おばちゃん社長は価値ゼロの会社を100億円で売却できたのか』に続き、爆発的な利益をたたき出せる経営ノウハウを、マンガを交えて解説していく第2弾『なぜ、おばちゃん社長は「絶対安全」で利益爆発の儲かる工場にできたのか?』を上梓しました。一見結びつきにくいと思われがちな「安全対策」と「利益」。本連載では、平氏の考えと取り組みのエッセンスを抜粋・再構成のうえ紹介します。
一瞬のミスで指切断!
ワイヤーの恐ろしさ
重い資材や、加工途中の仕掛かり品(ワーク)を運ぶ際、ワイヤーロープを使って玉掛けクレーンでつり下げる方法がよく使われます。
しかし、つり下げて揺れている資材を手で押さえた後、うっかりその状況を忘れてつり上げるリモコンのボタン操作をしてしまえば?
最悪、一瞬で指が飛んでしまいます。
おっかなびっくりやっている間はまだよいのですが、慣れてきたくらいの従業員が危険です。
「いちいち正しい手順を守るのは面倒だ」
「今回くらいいいだろう」
そんなちょっとした気の緩みが、時に取り返しのつかない事故になってしまいます。
ワイヤーは細くて強度が高く、刃物のようにも働いてしまうからです。