常識を疑えば、
どんどん安全・効率的になれる
グラインダーも同様です。できるだけ使わなくするためには、「使うな」というだけではダメで、そもそも使う機会をなくす必要があります。
バリが出るから削る。それなら、バリが出ないようにすればいい。
そんな発想の転換で、バリの出やすい古い金型はどんどん廃棄し、どうしても出てしまう場合は旋盤で対応するようにしました。
すると、金型のメンテナンスや修理がなくなり、ラインが止まってしまう回数も大きく減少。安全が効率アップを生む好例となりました。
クレーン代わりのフォークリフト活用や、直せば使える金型の廃棄など、それまでの常識ではあり得ない方法です。しかし、人の命、従業員の人生を傷つけたくない一心で、常識そのものを疑い、現状を変えるブレークスルーに結びついたのです。
そのおかげで劇的にもうかる力が身につき、対策コストは十分吸収できたのです。
(本原稿は、平美都江著『なぜ、おばちゃん社長は「絶対安全」で利益爆発の儲かる工場にできたのか?』から一部抜粋・改変したものです)
平鍛造株式会社前代表取締役社長。現在は株式会社インプルーブメンツ代表取締役社長。1956年東京都生まれ。1977年日本女子大学理学科を、父の看病のため中退し、父が設立した平鍛造株式会社に入社。工場のオペレーターや営業職を経て、1986年専務取締役就任。宅地建物取引士、CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を次々と取得。父の天才的な技術で製造される超大型鍛造リングにより、他の追随を許さない企業として急成長。その後、リーマン・ショックによる景気悪化などにより受注量が激減。型破りな父による強引な客先交渉が裏目に出て、2009年に廃業する事態に。会社存続の危機に追い込まれる中、代表取締役社長に就任し営業を再開。一度離れた顧客の信頼回復に努めつつ、数々の経営の合理化を進め、数年で業績を回復させる。2018年大手上場会社へ株式を90%譲渡するが、2021年6月まで代表を務める。その後、株式会社インプルーブメンツを設立し、代表取締役に就任。著書に、『なぜ、おばちゃん社長は価値ゼロの会社を100億円で売却できたのか――父が廃業した会社を引き継ぎ、受注ゼロからの奇跡の大逆転』(ダイヤモンド社)がある。