公務員大家さんなら、地域貢献という
本来の公務員のミッションも達成できる

公務員のクリエイティブ大家さんが、地方活性化の切り札になる!木下斉(きのした・ひとし)
地域再生事業家
1982年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了、修士(経営学)。国内外の事業による地域活性化を目指す企業・団体を束ねた一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事、一般社団法人公民連携事業機構理事を務めるほか、各地で自身も出資、共同経営する熊本城東マネジメント株式会社代表取締役、サッポロ・ピン・ポイント株式会社代表取締役、勝川エリア・アセット・マネジメント取締役なども務める。高校在学中に早稲田商店会の活動に参画したのを発端に全国商店街共同出資会社・商店街ネットワーク取締役社長に就任。その後現在に至るまで事業開発だけでなく地方政策に関する提言も活発に続けている。主な著書に『地方創生大全』(東洋経済新報社)、『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』(ダイヤモンド社)、『街づくり幻想 地域再生はなぜこれほど失敗するのか』(SB新書)などがある。

上田 まったく、おっしゃるとおりだと思います。数字に弱いというところが本当に一番のネックなんです。さきほどおっしゃったように、公務員自身がクリエイティブ大家になったら、もっとうまくいくんじゃないかと思いますね。四棟までは自分で銀行からお金を借りて不動産投資をやってみれば、本当に真剣になりますので。

木下 そうですね。

上田 それをやっていくと、投資のメカニズムがだんだんわかってきます。まさにBOE分析から長期的な出口計画までを全部自分で考えてやってみたらいいのです。そうすると、彼らも今度は、それを仕事でも自分でやりたくなるはずなので。そうなったら、じゃあ賃貸経費がいくらかかって、これどういうふうに削ったらいいのか、修繕費の話なんかでもそうですよね。修繕をできるだけ少ないような建物を作ろうとか、改修のために設備投資をして家賃を上げていこうとか、空室を減らしていこうとか、工夫をし始めるので、非常にいいエクササイズになると思いますね。

木下 それは本当にいいエクササイズになりますね。だから一軒目は住宅ローンで、賃貸併用住宅とかでやってみて、その賃貸併用のところを、次は住宅じゃなくて商業物件を入れたらいいんです。

上田 そうですね。賃貸併用住宅ローンも地方銀行は喜んで組成してくれるんではないですかね。

木下 地方再生をやりたいと僕に問い合わせが来る人たちは、自分たちが二階に住んで、一階にお店とかを入れたりするみたいなことで賃貸併用にするというのをやっています。51パーセントは住宅にして、49パーセント以下を商業に使うみたいな形です。この間も、大分県の佐伯市の中心市街地でやりました。結構大きい物件でも300万円とかなんです。仕込みはめちゃめちゃ安くできる。

 その上でどうやってやるのって言ったら、そもそも郊外に普通の家を買ってやったって、そんなの将来、二束三文にしからないということはもう見えている。自分たちである程度収入のある家の作り方で、しかも街にとってプラスになることをやろうと。だいたい奥さんも公務員だったり、看護師とか、地方でも仕事の手堅い、だいたい共働きの世帯が僕らの年代以下は多いから。そうするとローンも全然組みやすいわけです。しかも、ローンの金額が大した金額を組まなくてもできるから。そういうのをちゃんとやっていくだけでも、これで地元経済が回るんだなとか、地元にこういうお店を入れるとこういうお客さんが来るんだなってマーケット感覚もすごい身についていくんで、街の再生の切り口の企画力もすごい上がるんですよね。そういうのをどんどんやらせてあげればいいんです。そういうのを町中でやると、ありがたがられる時代にも変わってきています。

上田 そうですね。やっぱり与信にレバレッジがかけられるタイミングで是非やっていただきたいというのはありますよね。60歳ぐらいの引退手前で古民家を買って何かやろうかな、地域貢献しようかなってなったときにやったとしても、なかなか与信にレバレッジかけられないからむずかしいですよね。やっぱり30~40代で、街に関与したいってことで自分がクリエイティブ大家さんになるのであれば、地方はいくらでも貸したい金融機関は多いと思います。そういう点では、不動産投資をやりやすい環境にかなりなってきたかなと思はいますね。

木下 そうですね。だから結構地方にUターンとかIターンとかで、当座の仕事がよく見つけられないから公務員になった。公務員になったけど、自分が思うような地域再生の仕事がなかなかできないみたいなときに、不動産投資というアプローチを手堅く積み上げていくというのをやっていくというのはありですよね。公務員でも四棟ぐらいまではできるので、与信をフル活用できる年代でちょっとずつ最初はやってみて、これはもっと攻めていったほうが街としては面白くなるんじゃないかと思えば、自分で独立してやっていくということも全然できますよね。

上田 そうですね。公務員の与信をフルレバレッジしながら、地域貢献という本来の公務員としてのミッションも達成できますよね。