投資のリスクを乗り越えるには、
自分で数字を叩いて分析することが絶対に必要

公務員のクリエイティブ大家さんが、地方活性化の切り札になる!上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。現在5棟の超優良物件を保有。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。同社では鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。GSD不動産デザイン学科を卒業後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在は住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営。慶應義塾大学、早稲田大学で「不動産デザイン」について教えている。初の著書に『ハーバード式不動産投資術 資産26倍を可能にする世界最高峰のノウハウ』(ダイヤモンド社)がある。

木下 ただ、残念ながら地方公務員の方の給料というのは、地元の中では高いと言われますけど、全国的に見れば全然高くないし、退職金や年金もどんどん減らされていきます。だから老後の設計とかも、昔の公務員の人と同じようにはもうできないわけです。我々があと20~25年ぐらいもし働いたとしても、今の人たちがもらえる金額は、おそらくもらえないということはもう明確です。そうすると、さっきの上田さんの話じゃないんですけど、60歳になってからえんやこらやるっていっても、もうそれは無理ですよねって話になるので。やっぱり30歳前後ぐらいからそういうことをちょこちょこやっていって、自分でどういう道を選んでいくのかというオプションは、ある程度、若いうちから考えていたほうがいいんじゃないかなと思います。

上田 そうですね。この問題は、ある意味では資産形成を生涯にわたるプロフォルマ(長期事業計画)でみると明らかですね。結局、サラリーマンとか公務員の給料を定年まで積み上げたらこういう事業性、経済的なカーブになりますと。それで、そのなかで教育費も払って、家賃または住宅ローンも払っていくと、結局のところ資産形成が全くできないという感じになっちゃうんですね。

木下 はい。

上田 やっぱり不動産投資をやらないのって、みなさん自分で数字が叩けないからです。そして、なんとなく親や他人から借金は怖いとか、地道に住宅ローンを返して繰上げ返済しなさいとか擦り込まれるわけです。わかってない人が言うもんだから、結局リスク自体が何がリスクなのかもわかってないし、怖いって恐怖心だけがある。これを乗り越えるのって、まさに数字を叩いて分析するということが絶対的なポイントになります。

木下 おっしゃる通りですね。結局、なんだかんだ二、三軒の店を一階に入れるみたいなことは全然成立してるんです。それで知り合いとかもいて、商売やる人はゼロじゃないから。街を面白くしたいとやってるところってやっぱりアンテナが伸びてるんで、街でいろんな企画とかもやってれば、そういう店出したいけど場所を探してるんですみたいな相談が来たりしてやれるというポジションに立っていけば、リーシングも優位に立つわけですよ。自分の物件でやれるから。

 そうすると、今みたいに郊外に普通の順当なペラペラの新築住宅なんて買ったって、そんなもんね、収入なんて一切生まないものだから。それよりは何万円かでも家賃を払ってくれるところが三軒入ってくれて回っていくというほうがよっぽどいいし。ただのボロくなった何十年後の住宅を買う人はいないと思うけど。ちゃんと店子さんが入っていて、町中で面白くやっているエリアの中に所属する不動産だったら引き受けてくれる人っているなってやっぱり思うわけですよね。だって別に、さっきのどんどん人は減るけど、ゼロにはならないわけだから。どこかしらなんらかの都市の生活機能って残っていくんで、そこの場所にするんだって自分たちが決めればいいわけですよ。そういうのが可能性いっぱいありますよね。

上田 そうですね。私が学生の頃に読んだ本で、『金持ち父さん、貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキの不動産投資の先生が書かれた書籍があります。『世界の不動産投資王が明かす お金持ちになれる「超」不動産投資のすすめ』という本ですが、その本の金言の一つをご紹介します。物件を買う前に、自分がもし仮に店子さんを連れてこれる自信があるんであれば、もうその不動産投資は勝ちだと。その事例が面白かったんですけど、葬儀場が売りに出てたと。葬儀場を買う人なんてなかなかいないので(笑)。ある意味、こっちの言い値で買えちゃうわけですよね。

木下 はい。

上田 ただ、やっぱり葬儀場業者を丁寧にあたっていくという労力さえ惜しまなければ、もう全国の葬儀屋さんに声を掛けて、たとえば地元の高知県とかだったら、逆に葬儀場なんていつも混んでるんで。見つけてくるんですよ。見つけてきて、それを内緒にしながら買い交渉を有利に進める。入居見込みのあるテナントがあるわけですから、結果的に利回りが30パーセントぐらいになったという。これはたまたま葬儀場の事例でしたけど、店子さんを自分がイメージできて連れてこられるんだったら、どんな物件でもアルファが生めて再生できる可能性があるなと。

木下 そうですね。どこの街でもポイントはすごいありますよね。