「自分らしい生き方」で何のために働くのか?
――この「8M」は企業にも個人にも、どんな仕事にもあてはまりますね。
平尾 そうですね。最近は、好きなことを仕事にする「自分らしい生き方」がトレンドになっています。それも否定はしませんが、自分の仕事が何の役に立っていて、何のために働いているのか目的をはっきりさせないと、理想と現実のギャップは何なのかという問題発見はできません。
私はいろんな人から相談を受けるのですが、問題を問題として定義していない人が多いのに驚きます。特に前々回お話した別解力を出すための「自分らしさ」だけで勝負すると、それだけで終わってしまいやすいんですね。「目的」「目標」「問題」の3つをまずは明確にしてブレないようにしないと、モチベーションが持たなかったり飽きてしまったりするんです。
――ビジネスパーソンの場合、会社や上司が考えている「目的」「目標」「問題」と、自分が考えるその3つが一致しないケースもありそうです。
平尾 そうです。「この仕事、こういう成果を出すイメージで合ってますか?」って確認しないと、お互いの認識がズレていることがよくありますから。何を求められているのかわからずに仕事をしていても、モチベーションも上がりませんよね。
あとこれは、あくまでも私のケースですが、スピードや量で勝負すれば80点は誰でも取れるとリクルートで働いていたときに実感したんです。でも100点以上取るためには、人と違うやり方じゃないと達成できない。そのときも別解の必要性を肌感覚で強く感じました。
要するに、問題発見ができたあと、他と同じ80点止まりで問題解決する人と、100点以上で解決する人の差が「別解力」になるのです。『起業家の思考法』は後者を目指す人に向けて書いた本なので、問題発見できた人はぜひそのレベルを目指してほしいですね。
【第4回へ続く】
【第1回】「正解がない時代」でも成果を出せる人たちの共通点、「別解力」とは?
【第2回】「そんなの誰でも思いつく」と言われないように知っておくべき「別解」の生み出し方
株式会社じげん代表取締役社長執行役員 CEO
1982年生まれ。2005年慶應義塾大学環境情報学部卒業。東京都中小企業振興公社主催、学生起業家選手権で優秀賞受賞。大学在学中に2社を創業し、1社を経営したまま、2005年リクルート入社。新人として参加した新規事業コンテストNew RINGで複数入賞。インターネットマーケティング局にて、New Value Creationを受賞。
2006年じげんの前身となる企業を設立し、23歳で取締役となる。25歳で代表取締役社長に就任、27歳でMBOを経て独立。2013年30歳で東証マザーズ上場、2018年には35歳で東証一部へ市場変更。創業以来、12期連続で増収増益を達成。2021年3月期の連結売上高は125億円、従業員数は700名を超える。
2011年孫正義後継者選定プログラム:ソフトバンクアカデミア外部1期生に抜擢。2011年より9年連続で「日本テクノロジーFast50」にランキング(国内最多)。2012年より8年連続で日本における「働きがいのある会社」(Great Place to Work Institute Japan)にランキング。2013年「EY Entrepreneur Of the Year 2013 Japan」チャレンジングスピリット部門大賞受賞。2014年AERA「日本を突破する100人」に選出。2018年より2年連続で「Forbes Asia's 200 Best Under A Billion」に選出。
単著として『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』が初の著書。