「資格なんて使えないよ」のウソ
宅建士とは、不動産会社に配置することが義務づけられている国家資格の有資格者のことです。宅建士にしかできない「重要事項説明」という独占業務を行うことができます。重要事項説明とは、賃貸や売買の契約をする前に、必ず実施が義務づけられているものなので、不動産取引は宅建士がいないと回りません。
営業成績トップだったころの私は、宅建士ではないので重要事項説明ができず、その部分だけ資格をもっている人に任せっきりにしていました。当時、いわゆるトップ営業マンといわれる人の多くは、宅建士をもっていない人が多かったこともあり、自分自身が宅建士をとることの重要性にまったく気づいていませんでした。
「宅建士なんてとってもそんなに使えないよ」と言う人もいますが、決してそんなことはありません。確かに宅建士の人数は他の国家資格に比べても多く、2020年度末現在で52万人以上の人が宅建士証の交付を受けています。ただ、「有資格者が多い=資格の希少価値がない=使えない」と考えるのは少し違います。
不動産業界で就職、転職、独立開業するうえで、「宅建士をもっていることが大きくプラスになる」ことはあまりないかもしれません。しかし、「宅建士をもっていないことが大きなマイナスになる」と身をもって経験しました。
前述の通り、私が上場企業でナンバーワンの営業成績をおさめていたトップセールスだとしても、一歩会社の外に出るとそんな実績は大した武器にはならなかったのです。
むしろ、私がそれまで必要性を否定してきた「宅建士」という資格のほうが、よほど説得力があるのだということを思い知らされました。
(本原稿は、棚田健大郎著『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』を編集・抜粋したものです)