絶対知っておくべき論理の罠
苫野:私自身は「一般化のワナに陥らない」ことと、「問い方のマジックに引っかからない」とことを、議論の際の初歩的なポイントとしてよく話しています。
「一般化のワナ」とは、自分の経験や常識が、他の人にも当てはまると過度に一般化してしまうことです。
例えば、「教育はこういうものだ」とか、「日本人はこういうものだ」とか。
でも、それこそ例外は無数にあるわけなので、これは対立を引き起こす要因になりうるわけです。
自分の経験を、無自覚のうちに過度に一般化してしまってはいないか、自分を振り返ることが重要ですね。
もう1つは、「問い方のマジック」に引っかからない、ということ。
これは2項対立的な問いのことで、あちらとこちら、どちらが正しいかと問われると、人はどちらかを選ばなければならないんじゃないかと思ってしまうマジックに引っかかりやすいんですね。
でも、この世にどっちかが絶対に正しいということはほとんどなくて、この発想自体が非建設的です。
大事なのは、どちらも納得する第3のアイデアを見つけようとする姿勢です。
星:本当ですね。論破したい人たちに対しては、「なぜ、共通理解をお互いに求めていくほうがいいのか」といった本質的な意義を伝えていかなければならない。
では、改めて建設的な議論がなぜ大事なのかと問われたら、先生はどのようににお答えされますか。