「自己肯定感が高くないと幸せになれない」という思い込み

──「嫌われたくない」という気持ちが強いからこそ、好感度を気にしてしまい、心を病んでしまう……。という人も多いんじゃないかと思います。井上さんは、そういう葛藤はありませんでしたか?

井上:そりゃあ、もちろんありましたよ(笑)。毎年、年末に発表される「好きな男性アナウンサーランキング」というものがあって、入社以来、私は無縁で過ごしてきましたが、ずっとランクインしたいという気持ちは正直ありました。

だからといって好感度を得ようとすると、優人生的な発言に終始しがちです。角が立たない、ミスがないけれどつまらない、何も印象に残らない……それこそ「引っかからない」アナウンサーになってしまうでしょう。

・好かれたい × 好かれようと行動する = つまらない人になる

この公式から抜け出すには、ときには自分から嫌われにいく覚悟も必要だと思うんです。

「職場で心が折れやすい人」と「失敗しても回復が早い人」の決定的な差

──嫌われる覚悟を持てなくて、苦しんでいる人は多そうですね。

井上:もしかしたら、心が折れやすい人というのは、そういう「メンタルの強さ」とか、最近よく耳にする「自己肯定感」とかを気にしすぎなんじゃないかとも思うんです。

──言われてみると、たしかに「メンタルが強くないと幸せになれない」「自己肯定感が高くないと幸せになれない」と思い込んでいるのかもしれません。

井上:どうしたら幸せになれるかなんて人それぞれで、正解はないじゃないですか。なのに、人間って弱いから、世間で言われている「正解」というものに依存したいのかもしれません。でも、正解を求めるから苦しくなるんですよ。幸せの定義なんて自分で決めるべきで、人にとやかく言われるものじゃない。

自己肯定感なんて、ないですよ。そんなに簡単に自分を肯定できるわけがない。私だって、自分のことが嫌いだし、自信もないし、コンプレックスだらけです。でも、だからこそ自己鍛錬するし、成長もできる。私は「自分が幸せかどうか」を気にするよりも、そういうかっこいい生き方がしたいなあ、と思うんですよね。

【次回に続く】

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