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【精神科医が教える】誰かに褒められたくて行動する人の末路

承認欲求の沼にハマらないために

きょうのひとことは、
「誰かに褒められようとしないで」

誰かに褒められるのは、基本的には嬉しいことですよね。

この「誰かに褒められたい」という感情は、「承認欲求」ともいえます。

アメリカの心理学者アブラハム・マズローの「欲求5段階説」によると、人間の欲求は、生命を維持したいという「生理的欲求」からはじまり、自分の身を守りたい「安全欲求」、他人と関わりたい「社会的欲求」、他人から認められたい「承認欲求」、自分らしく生きる「自己実現欲求」へと進んでいきます。

人間は自己実現に向けて絶えず成長する生物だとマズローは説き、自己実現に至るまでの欲求を、わかりやすく5段階に分類して説明したのです。

誰かに褒められたいという承認欲求が強い人は、一生懸命頑張ったから、褒められて自尊心を満たしたいという気持ちが強かったりします。

ところが、そもそも他人を褒めるという行為は、「褒める人にとって都合がいい」ということにすぎません。誰かに褒められたら嬉しくなるものですが、それはあなたがすごいことをしているからというわけではなかったりするのです。

たしかに、仕事で好業績をあげたら、まわりの人は褒めてくれるかもしれません。しかし、それは褒めている人にとって都合のいいことをした、ということにすぎないのです。

おそらく、こういう視点で「褒める」「褒められる」ということを考えたことのない人が多いでしょうから、すんなりと理解できないかもしれません。

しかし、このことをよく理解しておくことが大切です。なぜなら、自分では誰かに褒められて当然だと思ったのに褒められなかったとき、モヤモヤしたり悲しい思いをしたり、あるいは褒められたいがために行動して、本質がわからなくなることを未然に防いでくれるからです。

同じ行動をしても、褒める人もいれば、嫉妬する人もいれば、けなしてくる人だっています。それだけ物事は多面的だということです。

褒められることばかりを意識して行動すると、他人の顔色をうかがいながら、他人に迎合しようとする生き方になってしまいます。それでは自分の人生ではなく、他人の人生を生きているようなものです。

ただし、親と子、先生と生徒の関係などであれば、子どもが褒められたくて行動するというのも成立する話ではあります。しかし、これを大人の世界に持ち込んで、人に褒められたいがために行動していると、自分のやりたいことがわからなくなりがちなのです。また、褒めてくれる人がいなくなったときには、もうなにもできなくなったりする可能性もあります。

誰もやっていないような革新的なことを成し遂げた人というのは、「前例がない」「そんなこと成功しない」「必ず失敗するぞ」などと、その過程において誰かに反対されたり批判されたり反発されたりするケースが多いといいます。場合によっては批判されるほうがマシで、物事がうまくいっている証拠になることもあるでしょう。

褒めるのは、その人にとって都合がいいから褒めますが、批判するのは、その人にとって都合が悪いから批判するもの。そして、褒められたいがために行動しようとすると、他人から批判されたときに方向性や目的を見失ってしまい、モヤモヤしてしまって耐えられなくなってしまうケースが多いということです。

ライバル関係にある人は、得てしてよくない方向に物事を決めようとしているときに褒めたりするものです。そういう点でも、褒められることが、よいとは限らないのです。

一度、立ち止まって考えてみてください。アナタは、誰かに褒められようと思って行動していませんか?

ずっと無意識に行動してしまっているケースもあり、本来は必要のないモヤモヤや動揺を抱えてしまっているかもしれません。人に褒められることの嬉しさだけに心を奪われて、本質を見失わないようにしてください。

いま評価されていないことが、先々の喜びに変わる可能性だってあります。

相手の価値観や立場の範疇でしか、人は褒めたりしないものです。このことをよく認識しておくと、褒められることに振り回されずに済むでしょう。

もちろん、人を褒めたり、褒められたりすることが悪いわけではありません。少なくとも、褒められることがすべて正しいわけでもなければ、褒められることに振り回されることによる害悪もあるということです。

きょうのひとことは、
「誰かに褒められようとしないで」
でした。

参考になったかしら?