生きていれば、不安や悩みは尽きない。寝る前に考え込んでしまって、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。
ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉の数々。とても読みやすいオムニバス形式の8つの物語は、気づかぬ間に心の荷物を抱え込んで苦しくなったとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。
voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
人間に備わった生存戦略の落とし穴
人間というのは、何度も会っている人については、自然と親しみの感情を抱きやすいものです。何度もあっていれば、どんな人なのか、だいたいわかっているので、自然と警戒心が解かれるわけです。裏を返すと、初対面の人、よくわからない人に対しては警戒心を抱きやすく、なんとなく悪く思いがちでもあり、さらにいうと敵意を抱きやすくもあるんですね。
人間は適切な評価をする前に、ネガティブな先入観を抱くことで、なにも悪くない人の心を傷つけてしまうことがあるということです。だから、「よそ者」は最初受け入れられにくく、つらい思いをしがちなのであり、その背景にはこうした人間の心理が働いているからなんですね。
悪い情報に警戒する人間としての本能
人間に備わった身を守る術として、悪い情報に対して警戒する傾向があります。それは対人関係にもいえることで、相手のいい面を見つけて評価するより、悪い面を先どりして警戒したり、不安視したりするほうが得意ともいえます。
まあ、これは自然な状態ともいえて、警戒すべきものに警戒してないと、自分の身が危険にさらされる可能性が高まるという動物としての本能かもしれないということです。
新たな環境に飛び込むときに武器になる考え方
人間には、悪い面を見やすい性質が備わっていることを自覚しておくと、先入観による敵意で、他者に過度な警戒感を抱くことを避けられるようになります。それは、新しい人とかかわるとき、なんとなくみんなで、その人の悪い面をあげつらって、村八分にしてしまうような悲劇も避けられるようになるでしょう。
過度な敵意を抱かないように自覚しておくことで、初対面の人とも、よりナチュラルに交流できるようになります。逆に、自分が新しい環境に飛び込んだときも、「人はよく知らないことを悪く思いがち」だとわかっていれば、心の平穏を保てるでしょう。
※『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)にお悩み解消のヒントがあります。