生きていれば、不安や悩みは尽きない。寝る前に考え込んでしまって、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。
ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉の数々。とても読みやすいオムニバス形式の8つの物語は、気づかぬ間に心の荷物を抱え込んで苦しくなったとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。
voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
嫉妬心のいい面、悪い面
嫉妬心が強くて苦しむことはありませんか? 他人の成功を妬んだり、うらやましがったりして、心が落ち着かなくなる。もし「悔しい」と思う気持ち、あるいは「負けたくない」という気持ちがなくなれば、嫉妬心に振り回されないし、心が安定するかもしれません。しかし一方で、今度は「張り合いがない」という側面も出てきます。
何事もバランスが大切なわけですけれど、「悔しい」「負けたくない」という気持ちをバネにすることも、自己研鑽を積むきっかけにもなるんですね。負けたくないという気持ちが向上心を生んで、自然と目標が掲げられることもあるわけです。それが嫉妬心のメリットともいえます。
嫉妬心の依存性
もっとも、嫉妬心が強すぎて、コントロールできずに苦しんでいる人は多いです。悔しさをバネに突き進もうとするだけだと、ちょっとバランスが偏っているんですね。シンプルにいうと、中身がなくなります。自分の内面をないがしろにしたまま、悔しさだけをバネにひたすら突き進むことには、ちょっとした依存性が生じてしまいます。
負けず嫌いで走ってきた人というのは、自分と比較して負けたくないという対象がなかったとしたら、「そもそも自分は、なにがしたいんだろう」という虚無感にさいなまれてしまいかねません。そこで、また新たな悩みが生じることになるんですね。
嫉妬心の適度な使い方
だから、このへんは試行錯誤しながらの慣れが必要なのですが、ちょっと張り合いを出すために嫉妬心や悔しさを利用するというバランスが大切になります。そのためには、自分が納得して自分がやりたいことをする、そして他人と比較しないことをベースにしつつも、ほんの一部で「悔しい」と思ったら、そのエネルギーを利用して次の目標にして向上するためだけに利用する。
料理でいうところのスパイスのような使い方をイメージするといいでしょう。唐辛子もちょっと混ぜるとピリッとしたアクセントがついて美味しくなりますが、大量にかけると辛すぎるし、お腹を壊しかねませんからね。嫉妬心も、ほんの少し利用するくらいで考えることからはじめてみてください。
※『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)にお悩み解消のヒントがあります。