棚田:仕事をしながら勉強するのは、確かに勉強することは辛いことかもしれません。ただそれは受験生自身が選んだ道であり、挑戦です。それに家族が協力するものだと決めつけてはダメです。受験生に一番大切なのは「家族が我慢のうえで協力してくれているのを当たり前と思わず、感謝の気持ちを持つこと」です。

――棚田さん自身は、試験期間中、どのようにご家族と過ごしておられましたか?

棚田:私の体験談をお話しします。私が受験生だったころ、「休みの日は勉強していなければならない」という強迫観念に近いプレッシャーを感じていました。当時私はすでに結婚していたのですが、せっかくの休日もどこにも行かず、ひたすら勉強していた時期がありました。

――奥さまはどんなご様子でしたか?

棚田:妻にしてみれば、どれだけつまらない日々だったことでしょう。妻は何も言わずに協力してくれていましたが、ある日、「今日も勉強?」と寂しそうに聞いてきた顔を見てはっとしました。自分が試験勉強をしているせいで、妻はつまらない時間を過ごしている、ストレスを与えてしまっていると。そもそも、私が資格取得を目指したのは家族の幸せのためだったはずです。そこで気がついたのです。このやり方は間違っていると。自分が勉強できているのは、妻が協力してくれているおかげ、何も言わずに家事をすべてやってくれているおかげ。そう気づけたことで受験勉強に対する考え方が180度変わりました。

――なるほど! 生活に変化はありましたか?

棚田:それからは、受験勉強中に妻とディズニーランドにも行きました。毎週新宿にショッピングにも行きました。何の罪悪感もありません。家族への感謝の気持ちを持てたことで、勉強に関するさまざまなストレスがすべて吹き飛びました。

③「やる気貯金」でモチベーションマネジメント

棚田:3つ目は、調子のいい日にやりすぎないことです。時間が取れたときに一気にすすめると、油断が生まれて「やらない日」をつくってしまいかねません。「昨日あんなにやったんだし、今日はやらなくても大丈夫でしょ」と休みたくなってしまうかもしれませんが、それこそが落とし穴。費やす時間は同じでも、調子のいい日だけ一気にやるのと毎日コツコツやるのとでは、記憶の定着率に差が生まれてしまいます。

さらに、調子がいいからとハイペースに進めてしまうと、ちょっとした疲れが翌日に繰り越され、ストレスへと変わっていき、結果的に勉強すること自体がストレス行為になってしまいかねません。

だからこそ、「調子のいい日」をつくらないことが大事です。大切なのは「今日はもっと勉強やりたかったな」と思いながらその日を終えて、その気持ちのまま眠りにつくこと。少し物足りないと思いながら寝ることで、やる気を翌日に繰り越すことができるんです。これを、私は「やる気貯金」と呼んでいます。

──なるほど! やる気貯金があるおかげでモチベーションが下がらず、毎日安定したペースで勉強できるんですね。

棚田:だからこそ、本に書いた「大量記憶法」では、1日の勉強ペースを調節できるようにしました。忙しい日は前日の復習だけやるなど、毎日少しでもいいので継続することが重要なんです。

毎日の生活の中に勉強の時間を組み込み、勉強をするのが当たり前の状態にすること。私は、勉強したい時間にアラームをかけるなど、絶対に忘れないような工夫をしています。モチベーションマネジメントは簡単ではありませんが、これさえできれば、勉強が苦手な人でも合格にぐっと近づけます。『「紙1枚」勉強法』で安定した学習計画を立てていきましょう!

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