実行可能なレベルまで具体化されていない施策は無価値

 このように私の施策も例外ではなく、世の中の多くの施策は実行されないことが少なくありません。読者の皆さんも、以下のような事例をまわりで見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

 ●社長から「売上を上げろ、コストを下げろ」と言われたが、現場では何も実行されなかった
 ●従業員満足度調査をした結果、上司と部下の間のコミュニケーション不足が分かったため、「コミュニケーション強化月間」が設定されたが、コミュニケーションは一向に改善しなかった
 ●お正月明けで体重が増えたので有酸素運動をして、炭水化物を減らそうと誓ったが体重は一向に減らなかった

 これらの施策は総論としては間違っていないでしょうし、実行されなかったのも反対者が多かったからではないでしょう。では、なぜ実行されないのかというと、実行できるレベルにまで具体化されていなかったからです。

 例えば、最後の例の場合、有酸素運動といっても色々な種類があります。ジョギングが得意な人もいれば、水泳が得意な人もいます。水泳が得意でもプールが近くにない可能性もあります。時間帯も朝がいいのか、夜がいいのか、それとも昼休みがいいのかを検討する必要があります。

 要は、個人の条件に合わせて具体化されていないところに問題があります。

「毎朝6時半に起きて、15分かけて、家から1.5キロ先にあるコンビニまで走る」というレベルまで具体化しないと実行されることはありません。

 さらに、実行者が自分自身ではなく他者の場合には、対象者が置かれている状況を正確に把握した上で具体化することが必要です。