2023年入試からAI学習システム「atama+」を活用した総合型選抜入試を全国で初めて導入し、新たな入試像を全国に示した立命館大学。24年には、人気の情報理工学部など2学部を「大阪いばらきキャンパス」に移転する。特集『大学2022 劇変の序列・入試・就職』(全24回)の#12では、その“大阪攻め”の狙いを立命館大の仲谷善雄学長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
入試のハードルを上げてでも
文系受験生に「数学」を課す理由
――2023年入試(同年4月入学)から、AI学習システム「atama+(アタマプラス)」を活用する全国初の総合型選抜入試(旧AO入試)を始めましたが、その狙いは?
総合型選抜における「atama+」の活用は、経済学部(経済専攻)とスポーツ健康科学部、そして食マネジメント学部という、入学後に数学の素養が必須となる社会科学系学部と文理融合の学部に導入しました。
経済学部とスポーツ健康科学部は「数I・A」と「数II・B」、食マネジメント学部は「数I・A」の指定された単元について、修得認定試験に合格するまで何度でも学習し、合格すれば総合型選抜入試への出願資格を獲得できる仕組みです。
AI時代に突入し、世界的に「STEAM(科学・技術・工学・芸術・数学の各英単語の頭文字)教育」が重視されている中、文系の学生の数学の基礎学力を担保することが目的です。ただし、新たな入試を導入したからといって、大学入学後に学生がやることはこれまでと変わりません。大学側が今まで、文系志願者に入試の段階で数学の基礎学力を問わずにきただけなのです。
少子化の中、入試のハードルを上げれば当然受験生は減るので、私立大学としては苦しいですが、大学側のメッセージとして、学生が入学後に苦労するよりも入学前に基礎学力を身につけていればスタートラインが全然違う、ということです。
入試で数学を避ける受験生は数学への苦手意識があると思います。ですが、本学を含めた立命館学園の2030年に向けた中期経営計画、「学園ビジョンR2030」でも「挑戦をもっと自由に」とうたっていますが、やはり苦手意識を持つ事にチャレンジをする学生に来ていただきたい。
――今後「atama+」の入試活用は、他学部や数学以外の教科への広がりはあるのでしょうか?また、大阪へのキャンパス移転の狙いについても教えてください。