商談や説明会、企画発表など、ビジネスパーソンがプレゼンを行う機会は多い。しかし、プレゼンが「苦手だ」と感じている人は多いのではないだろうか?
そこで役立つのが、1000社・1万人を超えるビジネスパーソンを対象にプレゼンスキルを伝授してきた、前田鎌利さんのベストセラーシリーズ最新刊『【完全版】社外プレゼンの資料作成術』。
今回は、伝わるプレゼンのメカニズムや、すぐに実践できる資料作りのテクニックなどを前田さんに語っていただいた本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)より、講演とQ&Aセッションの模様を全2回のダイジェストでお届けする。(構成/根本隼)
プレゼンの真の目的は「納得」させること
前田鎌利 相手に伝わるプレゼンのメカニズムは、上司・部下とのコミュニケーションや家族との会話と要点は同じです。
まずは、自分のメッセージを明確にして相手に伝えることが重要です。しかし、相手に理解してもらうことを最終ゴールにしないでください。それだけなら、資料を渡して読んでもらえば済む話です。
プレゼンの真の目的は「納得」させること。相手が納得してくれれば、その後に意思決定、そして行動(=サービス・プロダクトの導入など)へとフェーズが移っていきます。
それでは、どうすれば納得してもらえるのか。4つポイントがあります。まず1点目は、「目的の明確化」です。決裁の獲得や情報の共有、フォローの依頼など、プレゼンの目的はさまざまです。プレゼンの準備にとりかかるときは、「何のためのプレゼンなのか」を整理した上でスタートしてください。
2つ目は、「相手の欲求」です。これは見落とされがちなポイントです。相手がいま共感したいのか、納得したいのか、それともこの場で意思決定したいのかなどを見極めて、それに合わせたプレゼンをデザインしてください。
納得してもらうには「質疑応答」が必須
3つ目のポイントが、「質疑応答」。想定質問とその回答をきちんと準備することが大切です。
たとえばクライアントに初めてプレゼンをするとき、資料の内容を淡々と説明するだけでは、相手の信頼は勝ち取れません。説明さえ上手にできればプレゼンは成功する、と勘違いしている方がすごく多いですが、相手が理解した上で「納得する」という段階に進むにはハードルがあります。そのハードルを乗り越えるカギが「質疑応答」です。
質問にしっかり答えられれば、「この人は大丈夫」「このサービスなら安心できる」と思ってもらえるので、資料構成や話し方だけでなく、質疑応答まで用意周到にしておきましょう。
ラストの4番目は「念(おも)い」を伝えることです。この「念」という字は、信念や念願のように強い気持ちが込められた言葉に用います。会社にも、「企業理念」という言葉がありますよね。
プレゼンは「念い」を伝えるツールなので、会社に所属している方は、必ずプレゼンで企業理念を伝えてください。企業理念が伝わってはじめて、「この人と/この会社とだったら一緒に仕事したい」と相手が感じてくれます。