頭脳を鍛える学習アプリ「Think! Think!」「PEAK」
――子どもの集中力を高めるために、「何かに夢中になったら徹底的にやらせてあげてほしい」と本にありました。特にひとりっ子はデバイスを取り合うこともなく、1人で自由に動画やアプリを楽しめるわけですが、時間制限なしでもやらせていいアプリはありますか?
富永:先ほども話したように、算数の抽象概念が身につくという意味で、素数ゲーム系はおすすめです。プリントで素数の勉強をしても、紙は必ず終わりがありますけど、ゲームは終わりがないのがいいんです。そのうち飽きますから(笑)。
――素数ゲーム、私の子どもも今まさにハマっています! 最近、パズルや迷路のゲームアプリ「Think! Think!(シンクシンク)」も無料で体験させてみたら「もっとやりたい」と言うのでサブスク契約したばかりです。
富永:「Think! Think!」も空間認識力がつきますし思考力のトレーニングにもなります。「Think! Think!」とパズルゲームの「PEAK(ピーク)」にハマっている男子で、算数の模試の点数がいつも満点近い子もいますよ。学習効果の高いアプリを使いこなしている子で、優秀だなと感じる子は多いですね。
――いわゆる学習アプリではない、ニンテンドー系のゲームについてはいかがですか?
富永:それについては塾の保護者会でも、「ゲームを買い与えてから最初の半年から1年ぐらいは時間制限を設けなくていいんじゃないですか?」とよく話しています。どんなにおもしろいゲームでも、毎日3時間も4時間もやっていたら飽きますから。
飽きるまでやらせずに、1日30分とか1時間とか、中途半端に制限すると逆にゲームに執着します。そっちのほうが怖いので、受験勉強が本格的にはじまる前にゲームは思う存分やらせてあげたほうがいいと思いますね。
国語と算数は対面授業が効果的
――本に書いてあった、“実況中継を条件にゲームをやりたいだけやらせる”というアイデアは、国語力も鍛えられるのでおもしろいなと思いました。もうひとつお聞きしたいのは、オンライン授業と対面授業の違いです。授業動画を後で視聴できるケースもありますが、学習効果の違いについてはどうお考えでしょうか?
富永:オンラインに向いている科目は理科と社会、向いていない科目は算数と国語ですね。これは、解釈の仕方が1つしかないか、複数あるかの違いです。
理科や社会は、植物の名前も県庁所在地もすべて事実ありきで、知識を覚えることが大事で議論の必要はありません。
けれども、国語は生徒が20人いたら20通りの解釈があって、対面授業の中で他者の気持ちや意見を知ることで多くを学び、成長していきます。算数も答えは1つだけれど、どういう解き方があるかみんなで考えながら問題に向き合う時間も必要です。
もちろん、ZOOMで1人ずつ当てて答えてもらうこともできますが、国語と算数に関してはみんなでワイワイ意見交換できる場が大事なんです。
ただし、基礎学力が身について、教師の一方通行の講義を見るだけでも学習効果を得られる中学生や高校生は、オンライン授業でも問題ないでしょう。
また本にも書きましたが、英語は安くて効果的なオンライン学習が適しているので、積極的に活用したほうがいいです。