日本経済の命運決める 海底ケーブル大戦#7Photo:PIXTA

海底ケーブルは、サメがかんで故障する!?こんな話を聞いたことがあるかもしれないが、最近の実態からは懸け離れており、米グーグルのジョークが発端で広まったという。海底ケーブルは故障したらどう修理するのか。どうやって敷設するのか。特集『日本経済の命運決める 海底ケーブル大戦』(全7回)の最終回は、通信の大動脈の実態を知ることができる五つの秘密を解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

海底ケーブルの秘密その1
サメがかんで故障するって本当?

 有名な話題だが、最近の実態からは懸け離れている。

 海底ケーブルの業界団体「ICPC」が2021年5月にまとめた報告書によれば、1901~57年に魚がかんだことで海底ケーブルが損傷した事例は28件あった。ケーブルに残された歯形から、その大半がサメかオニカマス(バラクーダ)だとみられている。

 保護被膜付きの同軸ケーブルが導入されて以降の59~2006年、サメを含む魚のかみ傷による損傷の記録は11件で、損傷全体に占める割合は0.5%以下だった。

 光ファイバー海底ケーブルは80年代に登場。水深1900mの深海でサメにかまれて故障した例も89年に報告された。そして06年以降、サメの被害に遭ったケーブルはゼロだ。もはやサメは脅威ではない。

 ではなぜ、海底ケーブルの「天敵はサメ」説が広まったのか。