2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。
悩みや苦しみがなくなっていく
お釈迦さまが悟った道のりはいくつもありますが、その中のひとつに「四諦」という考えがあります。「4つの諦め」「4つの悟り」のことです。
「諦」という文字は、ある種の心の落ち着きや悟りを示しています。
「人生は苦悩に満ちている」という悟りです。
「執着が、悩み・苦しみの元である」という悟りです。
「執着によって、悩み・苦しみが存在しているのだから、執着をなくせば、悩み・苦しみはなくなる」という悟りです。
「悩みや苦しみは、こうでなければならない、ああでなければならない、こうすべきだ、という『とらわれ』や『こだわり』が自分自身を縛り付けている状態である。したがって、滅する(執着を捨てる)ということを、日常生活のあらゆる場面で実践していけばよい」という悟りです。
この4つの悟りを実践することで、お釈迦さまは、悩みや苦しみから離れ、「解脱」(悩みや迷いから解き放たれて、自由の境地に到達すること)できたそうです。
ある女性が、私にこんな質問をしました。
「夫が死んでから、7年間納骨していない(お墓に入れていない)のですが、別に、こだわる必要なんかありませんよね?」
私の答えは、こうです。
「こだわらなくてもよいのですが、ではなぜ、『納骨しないぞ』と7年間も頑張り続けているのですか? こだわらなくてよいのであれば、納骨してもよいではありませんか」
予想外の答えが返ってきて、その方は一瞬ショックを受けたようですが、「よくわかりました」と笑顔で話が収まりました。
「いろいろなことにこだわらなくてよい。執着しなくてよい。そうすれば悩みや苦しみがなくなるのではないか」という考え方は、悩みや苦しみの根源を絶つという意味で、とても重要なことだと思います。
しかし、「こだわらなくていい」という部分だけを逆手にとって、常識的ではないことをずっとし続けることも、逆にこだわりなのではないでしょうか。
納骨するのがよいとか、悪いとか、そういうことを言っているのではありません。
ただ、こだわったり、とらわれたりすることが、悩みや苦しみの元になっているのではないか、ということを言いたいのです。
そのひとつひとつの「こだわり」や「とらわれ」がなくなったら、人間は本当にラクになることができるでしょう。