「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
夜間のトイレより水分補給を優先
【前回】からの続き 私自身、水分補給はとても多いです。もともと少食だったのですが、年をとるとともに食事量が減り、食事から得られる水分も減っています。それを補うため、意識的に水分補給を増やしているのです。
私には加齢にともなう「前立腺肥大」があり、以前よりも膀胱に小便をためにくくなっています。水分補給を増やすと、トイレに行く回数が多少増えますが、それでも水分補給を優先しています。
朝起きて口をゆすいだらまず水を飲み、午前中だけで500ml入りのペットボトル1本を空にします。その調子で午後も1本、夕方以降も1本を空にしています。それだけで1日合計1.5リットルの水分をとっていることになります。
午前・午後・夕方以降と定期的に水分補給
私のように、午前・午後・夕方以降と、時間帯をざっくりと区切り、摂取する水分量の目安を決めてみるのもいいでしょう。私は、就寝前にもコップ1杯の水を飲んでいます。寝ている間の不感蒸泄による脱水を防ぐためです。夜中に1回はトイレに起きますが、それは想定内です。
認知症予防にコーヒーや緑茶が有効だという報告があります。しかし、コーヒーも緑茶も、水分補給には向いていません。どちらもカフェインを含んでおり、利尿作用があるからです。コーヒーや緑茶で水分補給すると、小便の量が増えて、逆に脱水に陥ることも考えられます。
水分だけでなく「電解質」も補給しよう
感染症などによる発汗、下痢や嘔吐などがあり、大量の水分を一度に失った場合には、ミネラルウォーターなどの真水ではなく、経口補水液や薄めたスポーツドリンクを飲むようにしてください。発汗、下痢、嘔吐などで失う体液には、水分だけではなく、「ナトリウム」や「カリウム」といった電解質が含まれています。
それなのに水分だけを補うと、体液が薄まってしまい、一時的にのどが潤ったとしても体内に水分が保てないのです。経口補水液やスポーツドリンクなら、水分と同時に電解質が補えます。必要なときにいつでも飲めるように、自宅に常備しておくと安心です。
※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。