不安は、日本の外交にも影を落としています。
アメリカに嫌われることを盲目的に恐れる日本は、慢性的に独立した外交ができなくなっています。米軍基地に関してもまともに交渉すらしようとせず、沖縄では民家の上空を戦闘機が飛び、ときに事故を起こして民間人が犠牲になり、横田空域では日本の航空機が自由に飛ぶことが許されないまま、70余年が経っています。
がん検診でパニックになる人の誤った選択
不安という感情そのものは、悪いものではありません。不安は本来、この先に起こりうる悪い事態を回避するためのものです。
前頭葉が働いていれば、リスクを予測し、回避策を考えることができます。
どのくらいの確率で、どのような事態が起こるか。何をすれば回避できるか。できなければどうリカバーするか。それでも無理ならプランB、プランCで対応を……というように、前頭葉が働けば働くほど、多様な対策を用意できます。
ところが、日本人の不安は、対策までたどり着かないことが多いのです。コントロールが働かず、怖いという感情だけが先走る、つまりパニックになるのです。
不安をコントロールできていれば「これもできる。こういうやり方もある」と複数の対策を考えられますが、パニックになっているときは、一つの答えしか出せません。たとえば、「もうダメだ」と悲観的になる。あるいは、「あいつが悪いのだ」と誰かへの恨みに転嫁する。はたまた「考えたくない」と目を背けてしまうこともあります。
がん検診の結果に翻弄(ほんろう)される人などはその好例です。