短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を研究してきた人物がいる。
東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。発売前から「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題なのが注目の新刊『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を初公開する。

覚えることをあきらめると、脳が活性化する意外な理由

今日から「覚えること」をあきらめよう

 私はあまりに業務量が多すぎ、記憶が追いつかなくなったとき、覚えることをあきらめた

 全案件をスマホにメモ化、アラート化するようにしたのだ。

 自分の頭脳を「記憶する」という機械で代替できるものに費やすことをやめて、その空いた頭脳のリソースをすべて「思考する」ということに集中させることにしたのだ。

 これで抜け漏れがなくなり思考に集中でき、人の10倍仕事ができるようになった。

多忙な脳に余白をつくる方法

 メモを取ることで安心して忘れることができ、脳の容量に空きをつくれたのだ。

 たとえば、外部の人に電話をしたが、相手が他の人と電話中だった。

 10分後にもう一度かけ直すと約束した場合、この10分間をどうすごすだろう。

 何か別の仕事をやっていても、チラチラ時計を見ながらやっていると集中できないので、この10分間は精度の低い仕事しかできない。

 そこで私はスマホのリマインダーを使い、「~さんに電話をする」というメモが10分後にアラート音とともに表示される設定をする。

 そして、いったんそのことは忘れ、目の前の仕事に集中する。

 これは重要だと思ったので、次のように当社の「クレド」にも入れた。

 私は正確に多くの仕事をこなせるようになるために、メモ、スケジュール帳、デジタルツール等を使いこなし、物事を「記憶」に頼るのではなく「必要なときに正確に気付ける、確認できる」状態を作る仕事の仕方をします。

 これにより仕事のキャパが広がり、実務能力も数倍上がる。

 メモ化、アラート化しない人は、自らの能力にフタをし、タスクに時間をかけ、精度が低いものを出し、時には忘れたりして、周囲に迷惑をかけているともいえるのだ。

(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)