日常生活を障害物競走にする収納(1)
やたらと背伸びしたりかがんだりする

 冒頭のケースでは日常のお茶セットがヤンキー座りで出し入れされていましたが、一般的には、つり戸棚から背伸びして出し入れされることが多いですよね。「普段は手前側にあるものを飲んでいるけれど、テレワーク勤務も増えたし、もっと他のフレーバーも楽しみたい」「ティーバッグの大袋を詰め込んでしまったので、奥にしまったモノが見えないし手も届かない。前におみやげでもらった中国茶もどこかにあるはずなんだけど…」といったボヤキをよく聞きます。

 大原則は、「出し入れしやすい場所」=「楽な姿勢・短時間で必要なアイテムにたどり着ける高さ」です。「今使っているモノ」はすべてこのエリアに集めていきましょう。

●まとめて使うアイテムは、高い場所のままアクセスよく
 お茶やコーヒーなど、その時々で使うモノを選びたい場合は、まとめて取り出せる方が便利。取っ手付きのケースを導入しましょう。無理にひとつのケースに収めるよりも「厳選の1軍」「その他の2軍」でケースを分けた方が使いやすいです。

 お茶やコーヒーは、箱入り、缶入り、袋入り、ティーバッグ、真空パックなど、形状もさまざま。控えの2軍用には、透明かつできるだけ大きな取っ手付きケースが間違いないでしょう。入れたモノも忘れにくく、収納棚の使いやすいエリアを縦に大きく広げられて一石二鳥です。

●バラで出し入れするアイテムは、見下ろせる下段に移動
 食品保存用のコンテナケースは数が多い上に、使う・戻すのタイミングもバラバラになりがち。目当てのモノに直接アクセスできて、戻すときもワンアクションで済むように、全体をずらっと見渡せるしまい方がベストです。引き出しタイプのキッチン収納なら、最下段の薄くて幅の広い引き出しに移動させるとよいでしょう。

 扉タイプのキッチンなら、棚の下段を定位置にして、棚板の高さに余白をたっぷり設けるようにすれば、アクセスがグッとよくなります。

●低すぎる場所は「底上げ」
 キッチンの引き出しで、腰をかがめて鍋やフライパンを出し入れしている家庭も多いでしょう。それ、地味に辛くないですか? 試しに、出番の少ない寸胴鍋や圧力鍋を下に、よく使う両手鍋やフライパンをその上に置いてみてください。この「底上げ」で、取り出す動作の負担が全く違ってくるはず。他にザルやボウル、米びつなども底上げするのがおすすめです。

 この方法は、クローゼットでも応用可能。プラスチック収納ケースの開け閉めがモコモコしたニット類で詰まり難しい場合、あえてケースの引き出しを枠から出してカゴのように上に乗せ、ニット類の投げ込み収納として使うのもありです。