ルビーロマンの韓国流出
まずはルビーロマンの流出について、経緯を紹介しよう。
朝日新聞が11月7日に報じた「岸田首相も安倍氏も食べた高級ブドウ、韓国に流出 裏目に出た戦略」という記事が韓国内で拡散されたことが、事の発端だった。同月8日には、中央日報、ヘラルド経済、毎日経済など、各紙がルビーロマンの韓国流出について記事を出し、いずれも閲覧・コメント数の上位にランクインし、韓国国民からの反応も相当なものだった。
朝日新聞が報じた内容を要約すると、次の通りだ。初競り価格で1房150万円もの高値がついた石川県産の高級ブドウ「ルビーロマン」の苗木が韓国に無許可で渡った。1995年からルビーロマンを開発・販売してきた石川県が、今年8月にソウル市内のデパートや高級スーパーマーケットなど3店舗で、ルビーロマンという名前で販売されているブドウを3房購入してDNA鑑定した結果、石川県産のルビーロマンと遺伝子型が一致した。生育期間から、5年以上前には苗木が流出していたとみられる……という内容だった。
加えて、韓国の「偽物」ルビーロマンは日本の正規品に比べて形が悪く、色もきれいではない。正規品のルビーロマンは1粒の大きさが20グラム以上、糖度が18度以上あるが、韓国のものは粒が小さく、糖度も16.7度と低かったという。
石川県は、韓国特許庁にルビーロマンに対する商標登録を出願していた。韓国特許庁がこれを受け入れれば、ルビーロマンという名称を使う韓国の農家は日本にロイヤルティーを支払って販売・輸出しなければならなくなる。