いよいよ年末が見えてきた。2022年はどんな1年だっただろうか。「上司に悩まされた」「部下に悩まされた」「同僚やクライアントに苦しめられた」、それぞれいろいろあっただろう。ビジネスパーソンの悩みの多くは人間関係に由来するもの。現在、この問題をはじめ、仕事にまつわる多くの悩みを圧倒的な説得力をもって解決することで人気なのが、プロデューサー・佐久間宣行さん初のビジネス書『佐久間宣行のずるい仕事術』だ。ここでは本書から佐久間氏が提唱する仕事術の一部をお届けする。
Photo: Adobe Stock
悩みは「因数分解」で考える
会社を辞めた方がいいのだろうか、続けられるのだろうか。
そんなふうに思ったときにできることがある。
問題を二つに「分解」するのだ。
「組織」の問題と「自分の能力(スペック)」の問題だ。
問題はどこにあるのか?
組織の問題とは、「前例がない」「上が詰まっている」など、自分にお鉢が回ってくるかがわからないという問題。
一方、能力の問題は、単純に自分自身にその仕事をやりきるだけのスキルや才能、器があるかどうかという問題だ。
着手したところで、はたして結果を出せるのか。
いま自分の前に立ちはだかっている壁は、いったいどちらか両方か。
まずはここを整理して、どうすれば壁を越えられるかを考えよう。
リミットを決める
20代のころ、僕にはまず「お笑い番組をつくるという新しいチャレンジ(テレビ東京には当時、お笑い番組がなかった)ができるか」という組織の問題があった。
能力についても「自分にディレクターとしての能力があるのかわからない」という壁があった。
組織と能力、どちらの問題にも壁があったというわけだ。
そこでまず「3年はチャレンジする」とリミットを決めて、そこまでに壁を越えられるかどうかを考えた。
そこまでは「ひたすら尖った企画書を出しまくる」。
これを努力目標にした。
自分自身で見極める
チャレンジングな企画書を出し、それが通ればこの会社でチャレンジできる(「組織の問題」クリア)ことになるし、もし、おもしろい企画を立てられたなら、自分にポテンシャルがある証にもなる(「能力の問題」クリア)。
つまり僕の場合、「尖った企画書を出すこと」が、たまたま2つの壁を同時に越える方法になったわけだ。
組織の問題を、個人の努力でカバーするには限界がある。
でも、能力が足りないまま組織の悪口を言うばかりでは成長できない。
行く手を阻む壁は会社なのか自分なのか。
その見極めができてこそ、その努力が実を結ぶ。
僕が会社を辞めた理由
ちなみに僕がテレビ東京を辞めて独立したのは、ずっとコンテンツを「つくる側」にいたかったからだ。
組織で年次を重ねれば、管理職の仕事が増え、現場を離れることになる。
でもまだまだ企画を考え、それを自分の手で実現したい気持ちが強かった。
独立すれば管理職なんてなりようがない。
しかもテレビの枠に縛られず、いろいろなフィールドで挑戦できる機会が増える可能性がある。
つまりこれもまた因数分解の結果、下した判断だということだ。
※本書には、この他、多くの仕事術が収録されています