民主的なコミュニティーの形成が
部活動の地域移行のカギ

 このように比較していくと、フェアアインを日本にそのまま導入することは難しそうだ。ただ、フェアアインのような「民主的な運営を目指すこと」は可能だと釜崎氏は語る。

 例えば日本の部活動には、ドイツのフェアアインと同じく費用が「安い」という長所があったが、部活動が学校の外に出ていくことによって、その長所が失われる可能性がある。家庭の経済環境にかかわらず、子どもたちのスポーツをする権利を保障するためには、地域住民が自分事として部活動の地域移行を捉える必要があるという。

「仮にスポーツクラブ運営企業に指導を委託する場合、新たな会費や月謝といった家計にかかる負担が増す可能性は高いでしょう。こうした『機会の格差』を生まないためには、地域でスポーツ文化を支えていくという理念を共有する必要があります」

 教員の負担を軽減できたとしても、家庭の負担が増すのであれば、それは問題の転嫁にしかならない。

「単に『教員の負担を減らしましょう』というのではなくて、教育学の領域で提言されてきたような、開かれた学校を核として地域をつくっていくことです。その上で、コミュニティーの中でスポーツをする場を支える、という理念を地域の実情に合わせて共有できれば、ドイツのような民主的なコミュニティーの形成も可能になるのではないでしょうか」

 今回の地域移行で肝となるのは、誰もが平等にスポーツができる環境を整えること。そのため、単に教員の負担軽減だけに焦点を当てるのではなく、民主的な自治を意識したコミュニティー形成の大きなチャンスと捉えることもできる、と釜崎氏は言う。