なぜサイクリストやデスクワークの人にとって、ポステリアチェーンを鍛えることは重要なのか?

 簡単に言うなら、「日常生活や効率的でパワフルなサイクリングのためには、ポステリアチェーンを強化する必要がある」のです。

「床から何かを持ち上げるとき、『足を使え』とよく言われるかと思います。そのため、そのようなパフォーマンスの向上を願う人はスクワットに注力するでしょう。ですが、本当はヒンジ*やデッドリフトも必要となるのです。そこで、ポステリアチェーンに焦点を当てたトレーニングの代表的種目である“デッドリフト”の正しいフォームを学ぶことが大切なのです。効率的にデッドリフトを行うことは身体のバランスを整え、機能的に健康であるために非常に重要なことだと思っています」と、フィネスタイン氏は話しています。

※ヒンジ(hinge)とは、「蝶番(ちょうつがい)」という意味になります。例えば「ヒップヒンジ」という種目であれば、股関節を扉の蝶番のように曲げ伸ばしするトレーニングのことを指します。

「首の後ろから胴体の後ろ側」の筋肉を鍛えるメリット

「身体のバランスを整える」とは、まさにこのことを指していると言っていいでしょう。日常的な動作や姿勢は身体の前面を縮めたり、酷使してしまうことが多い。なので反対側の筋肉群、つまりポステリアチェーンを強化するトレーニングが必要というわけです。強化することで怪我を防ぐことが期待でき、同時に身体をパワフルで効率的なマシンのように機能させるために主役だけでなく脇役の筋肉も含め絶妙なコンビネーションで身体を動かすことができるようになる…という考え方になります。

 さらにフィネスタイン氏が話してくれたように、デッドリフトのようなポステリアチェーンを意識したヒンジ動作は背中を平らにして体幹を鍛えるので、「強い姿勢を保つのに役立つ」と彼は説明しているのです。

 そのことで背中を丸めて猫背になるような姿勢から解放され、呼吸が妨げられる可能性や、身体全体の痛みから守ってくれるのです。つまり、ポステリアチェーンを鍛える筋トレメニューは、自転車に乗るときのフォームを改善するだけでなく、乗り心地を改善し、より快適にすることにもつながるのです。