ありとあらゆる場所に“中国”が潜伏
米フォーブス誌によれば、2010年にワールドカップの開催国に選ばれて以来、カタールは12年間で2200億ドル(約30兆円)もの費用をかけたと推定されている。
目下、W杯開催中のカタールでは、ありとあらゆる場所に“中国”が顔をのぞかせる。決勝トーナメント会場として使用されるメインスタジアム(ルサイル・アイコニック・スタジアム、収容人数8万8000人)の施工は、カタールのHBK社と中国鉄建国際集団が行った。
中国鉄建国際集団がこのプロジェクトを落札したのは、2016年。新華社は当時の様子について「ドイツ、イタリア、フランス、スペインなど6社間の激しい競争が繰り広げられた」と伝えている。
また、W杯の全8会場におけるオフサイドの判定に専用カメラや人工知能(AI)が使用されたが、中国のテクノロジーに詳しい専門家は「中国製の可能性もあるのではないか」と話している。2020年、中国企業の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)と浙江大華技術(ダファ)の収益は83億ドル、38億ドルで、世界シェア1、2位を占めており、首位のハイクビジョンがその他の企業を大きく引き離しているのがその理由だ。
W杯開催地のカタールでは、ホテル不足を補うため、外国人サポーターが宿泊するためのコンテナ型の「ファンビレッジホテル」が8カ所に設けられた。最大規模のファンビレッジは「フリーゾーン」と呼ばれるエリアで、「中国は6000個のコンテナホテルを納入した」と中国メディアは伝えている。
150万人が見込まれる世界からの外国人サポーターを輸送する公共交通にも、中国製のバスが1000台規模で投入された。スポンサー料も中国勢が計13億9500万ドル(約1900億円)を投じていて、米国企業の計11億ドル(約1500億円)を上回った。公式ショップで販売されている商品も半数以上が「メイド・イン・チャイナ」だといわれている。