今回の研究では、新型コロナウイルスのデータを、121カ国から取得した気象学的測定値と組み合わせて検討した。ワクチンが利用可能になる前の2020年1~8月のCOVID-19の罹患者数および死亡者数を集計し、各日のデータをその日の平均室内湿度の推定値と比較した。ガイドラインでは、人が快適と感じる温度を19~25℃とされている。研究グループはこの温度に基づき、屋外の気温が19℃を下回ると暖房が使用され、室内の湿度が下がるものとして、室内の相対湿度を算出した。

 その結果、戸外の湿度は1年を通じて50%程度であるが、室内の相対湿度は、COVID-19罹患者や死亡者の数が急増する気温の低い時期には、40%を下回る傾向にあることが明らかになった。また、熱帯諸国では夏季に室内湿度が緩やかに上昇するが、60%を超えるとCOVID-19による死亡者数の増大に反映されることも分かった。このように、COVID-19の罹患者数と死亡者数は、1年のどの時期であるかにかかわらず、地域の室内の相対湿度が40%より低い、または60%より高いときに増加する傾向が確認された。一方、ほとんどの地域で、室内の相対湿度が40~60%のときには、感染者、死亡者ともに比較的少なかった。

 共同研究者であるMITのLydia Bourouiba氏は、「COVID-19に関するデータはノイズが多く一貫性がないことがあるため、今回の分析結果については懐疑的な視点から徹底的に検証した。しかし、COVID-19に対する政策の国ごとの違いや屋外の条件の差を考慮しても、室内の相対湿度とCOVID-19の転帰との間に強固な関連が認められた」と話す。なお、室内の湿度が新型コロナウイルスの病原性にこれほどの影響を及ぼす理由は明らかになっていないが、追跡研究からは、湿度が非常に低い場合や高い場合には、ウイルスが飛沫内で長く生き残る可能性のあることが示唆されている。(HealthDay News 2022年11月18日)

https://consumer.healthday.com/how-is-coronavirus-spread-2658669314.html

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