彼らが1年生のとき、「この代が4年になったら、いいチームになる」と監督は目を細めていた。2020年秋の優勝の時には「(実力が伴わないのに)優勝してしまった」と厳しく自己分析していたが、来季はその心配はなさそうな気配がある。
先の加藤を筆頭に投手陣の層が厚い。最上級生の清水大成、伊藤大征、齋藤正貴、ユエン賢。3年生の鹿田泰生、中森光希、抑えの切り札として活躍した伊藤樹は2年生となる。
彼らの球を受ける捕手・印出太一の成長も著しい。
「春までは、下級生ということもあってかリードが遠慮気味だった。それがこの秋は変わった」
印出は3年生、上級生となる。打撃力に秀でる印出は、2022秋のベストナインに選出されている。
内、外野のポジション争いにも活気がある。堅守を誇る内野手の熊田にさえ、「少しでもたるんだ動きをしたら代える」と監督は明言している。ここに1年生が加わって、ポジション争いが激化することも楽しみである。
シーズン終了後のスタッフミーティング。監督は新幹部に問うた。
「2022年秋のリーグ2位という成績を上回るために、なにをすべきか」
彼らは「今まで以上に、練習する」と答えた。それしかない、という決意を指揮官は引き出したのだった。
「これで春に4位、5位なんてことになれば、(監督を)辞めなければいけないかもしれない」
そう小宮山は目線を強くした。(敬称略)
1965年千葉県生まれ。早大4年時には79代主将。90年ドラフト1位でロッテ入団。横浜を経て02年にはニューヨーク・メッツでプレーし、千葉ロッテに復帰して09年引退。野球評論家として活躍する一方で12年より3年間、早大特別コーチを務める。2019年、早大第20代監督就任。