「昔からフィギュアを飾るコレクションボックスなど、数種類を販売していましたが、現在のような規模に増えたのは2019年からです。そしてコロナ後、一段と推し活グッズの需要は伸びています。すでに70種類ほどあり、今後も増える見込みです。また、コロナ前までは、うちわなどのコンサートで使うグッズの需要が大きかったのですが、コロナ後は缶バッジカバーやカードケースなど、コレクション用グッズの需要が増えました」
2019年にはすでに推し活グッズが売れてはいたものの、コロナの感染拡大を前後し、コンサート関連からコレクション関連へと需要は変化したようだ。
ニッチな推し活グッズでも
ダイソーが商品化できる理由
ダイソーの商品は90%が自社開発で、その多くがメーカーとの共同開発である。その際にメーカーサイドから推し活グッズの提案が増えたことも、商品数増加の背景にはある。
メーカーから商品開発のヒントを得ることも多いという。
「さまざまな分野のプロフェッショナルな知識と情報を持っているメーカーからの意見も参考にしながら、商品のラインアップや企画を決めています。他にも、推し活をしている社員や家族、友人からの身近な意見も聞くようにして、それらをミックスして開発しています」
「こういうのがあったらうれしい」「普通の店で買うと高いから100円で売ってほしい」という言葉は、ダイソーの人間なら誰しも言われる言葉だという。そのような声を拾い、商品開発に生かしているのだ。
「一般的にバイヤーというと経験豊富でキャリアもある40代以上が多いですが、弊社のバイヤーは全体的に20~30代が中心。アニメやアイドルなどへの感度は高いですから、若い世代の感覚と推し活グッズの相性は合っているのかもしれません」
ただ、当然ながらお客さんのすべてのニーズに応えられているわけではない。例えば、店頭でお客さんに「推し活グッズのぬいぐるみ用スタンドはありますか」などと聞かれても、販売していないこともある。
「そういう場合は店舗から本部に要望が来るんです。『お客さんがぬいぐるみ用スタンドを探しておられたので、ダイソーで商品化してみてはどうでしょうか』という感じですね。そこで、じゃあ商品化してみようという話になることもあります。我々の強みは店舗数があることですから、そのぶんお客さまの声も多いんです。また、店舗数と販売力があるため、ニッチな商品でもある程度の数量を生産することができます。メーカーの生産のロット数が決まっていることがあるため、一定の数量以上でないと生産できない場合もありますが、弊社であればニッチな商品にも手が出せる。実際、缶バッジカバーなどは、他社よりもサイズの種類を増やせています」