商品化における
大きな課題とは

 一方で、開発上の大きな課題は「商品をプライスに収めること」(畑中氏)だ。

「販売価格である100円におさめるための交渉や素材選びは非常に苦労します。それだけではなく、今後の売り方やパッケージの方向性などもメーカーと話し合います。お互いに本気にならなければ、100円で売れる商品は作ってもらえませんからね。推し活グッズだけではないですが、メーカーとの関係性は大事にし、100円で高品質なものを提供させていただいています」

 価格を100円に抑えるのは至難の業で、バイヤーとしては一番の悩みどころだそう。そのため、ボツになってしまう商品は、基本的に価格との釣り合いが取れないケースが多い。

「かつて“痛バッグ”と呼ばれるバッグを販売しようと思いましたが、価格的に難しく断念したことがありました。これはトートバッグの外側に透明なシート部分を設け、そこにぬいぐるみや缶バッジを入れられるものでした。一般的には2500円以上するので、100円は無理にしろ300円などで実現できないかと思いましたが、強度などが問題でした。素材をEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)からPVC(ポリ塩化ビニル)に変えれば価格は抑えられますが、強度や安全性が落ちるケースがある。このような経緯で実現しない商品は、たくさんあります」

 企画提案した数の半分以上は、このような理由もあってボツになるという。さらに、商品化したグッズであっても、いつまでも店頭に残るわけではない。

「年間20種類ほどの商品が販売不振などを理由に、店頭からなくなっていきます。ニッチな商品が多いため、欲しいお客さんはいるが、そこまで数が売れないケースもある。販売を継続するかどうかのラインをどこで引くかが悩みどころでもあります。また、缶バッジをコレクションできる壁掛けなど、ネットでの評判が良くても、実際の販売数に結びつかないこともありました。そういった商品は、そもそもニーズがなかったのか、提供方法が悪かったのかを検討します」

 提供方法に問題があれば、パッケージや店頭での売り出し方を再考することで、なるべく販売をやめないように努力しているという。ダイソーの店内には約2万点もの商品があるため、気づいてもらえるようなパッケージを作らねばならないが、一方で「他の商品との統一感を出した方がいい商品もあるので、そこの見極めが非常に難しい」(畑中氏)という。

 最後に、畑中氏は今後の推し活グッズの展望をこう述べた。

「今後はバリエーションや数量を増やしていきたいですね。子どもの運動会でうちわを使って応援するということもあるようなので、そうした幅広い用途ができるようなグッズ開発と提案をしていきたいです。また、弊社は他社に比べると売り場作りや商品のバリエーションもまだまだなので、改善していきたいですね」

 推し活グッズの需要は、まだ伸びていきそうだ。