ある経営者は、こんなことを語っていました。そもそも人間関係は難しい、と思うところからはじめるべきだ、と。実際、人間関係は心地よいものばかりではありません。自分の思うようにはならないのです。嫌な思いもしなければならない。しかし、それは一つひとつ経験として積み上がっていきます。

 苦手な人がいてもうまくやっている人たちは、うまく付き合おうと努力していく中で、人間関係のスキルを上げているのです。いろいろな人と会い、いろいろな経験を積んでいく中で、その術を学んでいく。うまくやっていく方法を蓄積しているのです。

 そして人間関係を恐れないことも大事だ、とも語っていました。なぜなら、恐れていることは、表に出てしまうから。人間関係の難しさを認識しつつも、恐れない。何とかなる、と考える。その心構えが必要だということです。

ソリの合わない上司でも
部下でいるのはせいぜい数年

 こんなことを語っていた経営者もいました。もしソリやウマの合わない、尊敬できない上司や先輩に当たったら、徹底的に観察してみるといい、と。どんな態度か、どんな表情をしているか、どんな物言いをするか、どんな行動をとるか。

 そして、「なるほど、こんなふうにすると部下や後輩から嫌われるのか」という学びにしてしまえばいい、と言うのです。観察対象にしてしまうことで、客観的に相手が見られるようになる、とも語っていました。

 さらに言えば、部下でいるのもせいぜい数年。人生の鍛錬期間と思えばいいのです。

 私が個人的にお勧めするのは、小説を読むことです。小説には、いろんな人間が出てきます。ドストエフスキーの小説には、人間が生きる世界がいかに理不尽で、無慈悲で、不平等で、不合理で、残酷なものなのかが語られています。

 それを理解しているだけでも、人生は大きく変わるのです。世の中にはいろんな人間がいる。とんでもない人間もいる。小説は大きな学びを与えてくれるはずです。