久しぶりに突き抜けた感のある
“ホンダらしいホンダ車”が誕生
フットワークで驚くのはボディやステアリング系の高い剛性だ。SUVとは思えないほどカッチリしている。サスペンションはロール/ピッチが抑えられ、荒れたグンサイのギャップを綺麗にいなす高い吸収性も持ち合わせている。フロントの回頭性と絶大な安定感を持つリアとのバランスは、駆動方式を問わず絶妙。エスケープゾーンがほとんどない道でも、安心して走れた。
中でもAWDのハンドリング性能はFF以上。リアをより効果的に使うトルク制御で4輪を上手に活用してくれる。まるで道幅が広くなったと錯覚するくらいコントロールの幅が広い。リアルタイムAWDは実用性重視のシステムと思われがちだが、ZR-Vのそれは“スポーツAWD”と呼んでもいいだろう。
快適性も高水準。スポーティな走りから「乗り心地は厳しいでしょ?」と思われがちだが、いい意味で裏切られた。競合車と比べると引き締められている。しかし絶妙なボディと吸収性の高いサスペンションの組み合わせにより“しなやかで心地よい硬さ”に仕立てられている。FFはかつてのインテグラ・タイプS、4WDは4代目オデッセイ・アブソルートに近い快適性……つまり、乗り心地も高いレベルだと感じた。
ズバリ、ZR-Vは“SUVの皮を被ったスポーティハッチ”だ。その実力は究極(=Z)のRVといっていいかもしれない。久しぶりに突き抜けた感のある“ホンダらしいホンダ車”が誕生した。
(CAR and DRIVER編集部 報告/山本シンヤ 写真/小久保昭彦+HONDA)