エクステリアは最新のホンダデザイン。弟分のヴェゼルとの共通性も感じるが、ワイド&ローなスタンスに加えて、キリっとした精悍さがプラスされたフォルムが特徴だ。ボディカラーはシックな色を中心に設定され、スポーティさに加えて、ホンダらしからぬ!?プレステージ性も備えている。
インテリアは水平基調。インパネ回りはシビックと同様だが、個性的なブリッジ式のセンターコンソールにより、SUVの力強さと骨太感を演出。実際に運転席に座ると、アイポイントの高さと、シビックのようなスポーティな運転姿勢に驚く。実はこれもZR-Vの個性。SUVを忘れる走行感覚を実現したポイントのひとつだ。3名掛けのリアシートは独立2座のようなパーソナルな空間。なお、スポットライトは丸形のタッチ式LEDを採用。細部へのこだわりも強い。
ラインアップは上級のZと、充実装備のXの2グレード構成。パワーユニットは、ガソリンが1.5LVTECターボ。ハイブリッドは2L+2モーターのe:HEV。シビックと共通だが、重量アップと大径タイヤ採用に合わせてトルク特性の最適化とファイナルギア変更を実施。駆動方式はFFとリアルタイムAWDを設定する。
車体は高ハイテン材の適用と構造の進化を図った最新世代。構造用接着剤の適材使用で柔と剛を備えた“しなやかボディ”を実現した。シャシー回りはシビックと同じグローバルプラットフォームをベースに、フロントはロアアーム/ナックルの変更、リアは上級のCR-V用マルチリンクを採用(ブッシュは新規設定)する。タイヤは全車サマーだ。
走りはドライバーを魅了する高水準
スポーツSUVと呼びたい!
試乗の舞台は群馬サイクルスポーツセンター(グンサイ)である。荒れた路面と起伏の多さから“和製ニュルブルクリンク”と呼ばれる過酷なワインディング路だ。試乗日の路面はウエット。「SUVには厳しいのでは?」と感じたが、実際に走らせると、安心に変わった。その理由を説明していこう。
1.5Lターボはシビックで感じたターボラグが薄れ、フラットなトルク特性と大排気量NAのような余裕が印象的。販売主力のe:HEVはモーター駆動を活かした力強さはもちろん、高い“直結感”と雑味のないエンジンサウンドが心地いい。システム的にはエンジンと駆動系に機械的なつながりはないのだが、それらがつながっているかのようなソリッド感が素晴らしい。エンジン車以上に対話できる。このあたりはダイレクトアクセルやリニアシフトコントロールなど、制御技術の進化が大きいに違いない。